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驚くべきことに、新日鉄興和も長谷工も経団連の企業会員である。
なぜ驚くべきかといえば、両社とも経団連の掲げる「企業行動憲章」を全く意に介しておらず、全く正反対の行動をとっているからである。以下に、経団連の企業行動憲章を参考までに掲載するが、これは、法令遵守はいうまでもなく、単なる法令遵守を超えた自らの社会的責任を認識し、人権を尊重、法令のみならずその精神の遵守までを求める崇高なものである。

以下は、新日鉄興和と長谷工の行動事例である。これらは、失笑を禁じえないほど、経団連の「企業行動憲章」に悖(もと)っている。

1.環境重視、地域社会の重視をHPで高らかに謳い上げている新日鉄興和は、実際には地域住民との対話を拒否し一度も応じず、長谷工を楯にして自らは隠れ、長谷工を使って地域のルールや協定を完全に無視し、山手の景観・風致を完膚なきまでになきものにしている。

2.わかりやすいのは、2012年9月6日に国土交通省から長谷工社長が耐震偽装で処分されたことである。崇高な「企業行動憲章」どころか、こちらは明らかな違法行為によって行政処分を受けている。このあと、米倉会長は9月18日に「企業倫理徹底のお願い」を発し、「昨今、会員企業の中で経営トップがかかわった不祥事がみられたのは大変遺憾」としている。

3.地域住民と行政が永年にわたって作り上げてきたいわば「社会的規範」ともいえる「山手まちづくり協定」や「山手地区風致景観保全要綱」は紳士協定にすぎず法律ではないと平然と無視し、最低限の法令のみ順守すればいいという新日鉄興和と長谷工態度は、「法令遵守はいうまでもなく、単なる法令遵守を超えら自らの社会的責任を認識し、人権を尊重、法令のみならずその精神の遵守までを求める崇高なもの」とはほど遠い。

この2社が経団連の名誉と品位を貶めていることには、全く疑う余地がない。

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企業行動憲章
2010年9月14日
(社)日本経済団体連合会
【序文】

日本経団連は、かねてより、民主導・自律型の活力ある豊かな経済社会の構築に全力をあげて取り組んできた。そのような社会を実現するためには、企業や個人が高い倫理観をもつとともに、法令遵守を超えた自らの社会的責任を認識し、さまざまな課題の解決に積極的に取り組んでいくことが必要となる。そこで、企業の自主的な取り組みを着実かつ積極的に促すべく、1991年の「企業行動憲章」の制定や、1996年の「実行の手引き」の作成、さらには、経済社会の変化を踏まえて、数次にわたる憲章ならびに実行の手引きの見直しを行ってきた。
近年、ISO 26000(社会的責任に関する国際規格)に代表されるように、持続可能な社会の発展に向けて、あらゆる組織が自らの社会的責任(SR: Social Responsibility)を認識し、その責任を果たすべきであるとの考え方が国際的に広まっている。とりわけ企業は、所得や雇用の創出など、経済社会の発展になくてはならない存在であるとともに、社会や環境に与える影響が大きいことを認識し、「企業の社会的責任(CSR: Corporate Social Responsibility)」を率先して果たす必要がある。
具体的には、企業は、これまで以上に消費者の安全確保や環境に配慮した活動に取り組むなど、株主・投資家、消費者、取引先、従業員、地域社会をはじめとする企業を取り巻く幅広いステークホルダーとの対話を通じて、その期待に応え、信頼を得るよう努めるべきである。また、企業グループとしての取り組みのみならず、サプライチェーン全体に社会的責任を踏まえた行動を促すことが必要である。さらには、人権問題や貧困問題への関心の高まりを受けて、グローバルな視野をもってこれらの課題に対応することが重要である。
そこで、今般、「企業の社会的責任」を取り巻く最近の状況変化を踏まえ、会員企業の自主的取り組みをさらに推進するため、企業行動憲章を改定した。会員企業は、倫理的側面に十分配慮しつつ、優れた商品・サービスを創出することで、引き続き社会の発展に貢献する。また、企業と社会の発展が密接に関係していることを再認識したうえで、経済、環境、社会の側面を総合的に捉えて事業活動を展開し、持続可能な社会の創造に資する。そのため、会員企業は、次に定める企業行動憲章の精神を尊重し、自主的に実践していくことを申し合わせる。

企業行動憲章
― 社会の信頼と共感を得るために ―
企業は、公正な競争を通じて付加価値を創出し、雇用を生み出すなど経済社会の発展を担うとともに、広く社会にとって有用な存在でなければならない。そのため企業は、次の10原則に基づき、国の内外において、人権を尊重し、関係法令、国際ルールおよびその精神を遵守しつつ、持続可能な社会の創造に向けて、高い倫理観をもって社会的責任を果たしていく。
社会的に有用で安全な商品・サービスを開発、提供し、消費者・顧客の満足と信頼を獲得する。
公正、透明、自由な競争ならびに適正な取引を行う。また、政治、行政との健全かつ正常な関係を保つ。
株主はもとより、広く社会とのコミュニケーションを行い、企業情報を積極的かつ公正に開示する。また、個人情報・顧客情報をはじめとする各種情報の保護・管理を徹底する。
従業員の多様性、人格、個性を尊重するとともに、安全で働きやすい環境を確保し、ゆとりと豊かさを実現する。
環境問題への取り組みは人類共通の課題であり、企業の存在と活動に必須の要件として、主体的に行動する。
「良き企業市民」として、積極的に社会貢献活動を行う。
市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力および団体とは断固として対決し、関係遮断を徹底する。
事業活動のグローバル化に対応し、各国・地域の法律の遵守、人権を含む各種の国際規範の尊重はもとより、文化や慣習、ステークホルダーの関心に配慮した経営を行い、当該国・地域の経済社会の発展に貢献する。
経営トップは、本憲章の精神の実現が自らの役割であることを認識し、率先垂範の上、社内ならびにグループ企業にその徹底を図るとともに、取引先にも促す。また、社内外の声を常時把握し、実効ある社内体制を確立する。
本憲章に反するような事態が発生したときには、経営トップ自らが問題解決にあたる姿勢を内外に明らかにし、原因究明、再発防止に努める。また、社会への迅速かつ的確な情報の公開と説明責任を遂行し、権限と責任を明確にした上、自らを含めて厳正な処分を行う。
以上
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先日の小林基雄氏と山手の景観と環境を守る会の共同代表の李、土井の連名で、横浜市会への手紙を送りました。宛先は、山手町のある中区選出市会議員及び建築・都市整備・道路委員会に属する以下の市会議員に方々である。

福島 直子 市会議員様
伊波 洋之助 市会議員様
串田 久子 市会議員様
松本 研 市会議員様
大桑 正貴 市会議員様
畑野 鎮雄 市会議員様
加藤 広人 市会議員様
高橋 徳美 市会議員様
竹内 康洋 市会議員様
石渡 由紀夫 市会議員様
大岩 真善和 市会議員様

現行の建築局による風致条例の運営に問題があるために、山手におけるマンション業者による風致・景観破壊が急速に進んおり、これを匡正していかなければ、山手は簡単にマンション業者の乱開発の餌食になってしまうとの危機感を訴えています。行政による条例運営の誤りを監理監督し必要に応じて匡正・指導するのは市会の本来の役割です。

早速、みんなの党の串田久子議員は守る会に対して事情聴取し、ご自身での調査を約束してくれました。

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以下、手紙の引用です。

(山手町有有志さんから市会議員に宛てた手紙)

福島 直子 市会議員様
伊波 洋之助 市会議員様
串田 久子 市会議員様
松本 研 市会議員様
大桑 正貴 市会議員様
畑野 鎮雄 市会議員様
加藤 広人 市会議員様
高橋 徳美 市会議員様
竹内 康洋 市会議員様
石渡 由紀夫 市会議員様
大岩 真善和 市会議員様

〇行政指導の矛盾等について
(横浜市風致地区条例に基づく許可基準 対 山手地区景観風致保全要綱と山手まちづくり協定)

 私たちは、山手町の住民であり、山手町の景観、風致、まちなみの維持、増進に重大な関心のある有志です。実は、山手町244番地3(旧マースク山手ハウス敷地 約4,244㎡)の貴重な樹木(計136本)のほとんど全てが平成25年5月7~8日に伐採されました。山手町を象徴するヒマラヤ杉などの景観木は全て伐採されました。山手まちづくり推進会議・山手まちづくり協定運営委員会も、近隣住民も、この貴重な樹木、景観を守るべく全力で取り組みましたが、無残な結果に終わりました。
この原因が何かを明らかにするため、これまでの経緯を紹介させて頂きます。

山手町244番地3(旧マースク山手ハウス敷地 約4,244㎡)において、新日鉄興和不動産(株)及び(株)長谷工コーポレーションによるマンション建設計画 (鉄筋コンクリート造、地上3階、39戸)の申請が、「山手まちづくり協定運営委員会」に平成24年10月に出され、同委員会での審査の結果、平成25年4月15日に不適合と判断し、業者に通知しました。
不適合の内容は、上記建設計画が「山手まちづくり協定」(山手町の住民が定め、横浜市が認定したまちづくりのルール)の「基準4-1景観木の保全」を充たしていないというものです。このため、同委員会は業者に対し以下の要請を行いました。
●敷地の外周部の樹木の保存または移植に努めて下さい。 特に、地域のランドマークになり、
山手らしさを形成している高さ5m以上の樹木(ヒマラヤ杉、クス等)を保存して下さい。
また、マンションが隣地境界から1mの所に建設される計画であり、山手町内に、このような大型の集合住宅が隣地1mに建設された例は無く、これまで住民等の努力で良好に維持されてきた景観や風致が損なわれ、近隣の住環境が大幅に悪化することに加え、プライバシー権等も大きく侵害される恐れもあるため同委員会として許容できるものではない事も伝えました。
なお、不適合の処分決定の前に、長谷工の対応責任者に対し、山手まちづくり協定運営委員会による敷地外周部の樹木保存についての要請を度々行いました。

一方、「山手地区景観風致保全要綱」(山手地区の景観風致を保全するために開発行為等を指導することを目的とするもの)を管轄する横浜市都市整備局都市再生推進課は、計画に対し承認出来ない意味の「不承」とし、業者に以下の指導が行われています。
●建築計画等によって除却することになる樹木は必要最小限とし、道路沿いなど敷地の外周部を重点にできる限りの保存または移植を行うなど、山手地区の景観風致の維持または増進へ十分配慮してください。特に、山手地区の景観を形成している景観木(高さ5m以上で従前の宅地に植樹されているヒマラヤ杉、クスなど)を中心に保存してください。

4,200㎡を超える建設予定地内には山手を象徴し外国人居留地時代からのヒマラヤ杉4本を始め、山手の景観木であるクス、ケヤキ、シイなどの樹木が136本もあり、山手町の宝と言える場所です。(写真1 伐採前の光景)
この景観や環境を守るため、「山手まちづくり推進会議」として、市のなした「風致地区許可行為(木竹の伐採)」に対して、平成25年4月19日に別紙記載の異議申し立てや執行停止申し立て等も横浜市に行いました。

また、近隣住民による「山手の景観と環境を守る会」(代表 李宗憲、土井一人、ブログ:info@minnano-yokohama.com)は、反対署名活動やブログ広報活動に加え、異議申し立てや執行停止申し立てを独自に行っています。

しかしながら、執行停止申し立てに対する横浜市からの回答も出ないまま、平成25年5月7日午前より伐採が始まり、翌日には全ての景観木が無残にも伐採されました。残された樹木は、カエデなど10本程度のみとなりました。(写真2 伐採中、伐採後の光景)
伐採直後の現地を見て、余りにも大きな変化、無残な光景に言葉は出ず、涙が出るばかりでした。
伐採前後の現場の写真を見れば一目瞭然ですが、景観が破壊され、風致が全く損なわれていることが確認されます。
景観と環境の良好な山手町に大きな危機が迫っている思いがしました。

「山手まちづくり協定」も「山手地区景観風致保全要綱」も法的拘束力はありません。
従って、業者の良心に訴えるしかないのが実情です。なお、業者は、「横浜市風致地区条例に基づく許可基準」(木竹の伐採)の許可 (高さが5mを超える樹木を伐採する場合は、1本伐採するごとに1m以上の樹木を植樹することで許可される基準です) を受け伐採したものです。

「山手地区景観風致保全要綱」には、保全管理基準として「宅地内に生育している樹木等は、その土地が緑地的効果を維持または増進するよう適切な管理をすること」と定めています。今回の建設計画で、伐採許可を許した部局と、不承として指導を申し入れた部局の両者が連携して対応すれば、この様な惨めな結果はなかったのではと悔やまれます。

更には、風致地区条例は、木竹の伐採は最小限かつ風致をそこなうおそれがない場合に伐採を許可する規定になっているため、風致条例がきちんと守られていれば、上述のような事態は本来起こりえないはずです。

しかし、完膚なきまでに景観・風致の破壊が行われたのは、建築局建築環境課によって風致条例が不適切に運営され、本来違法な許可が与えられたためであると思われます。
条例の不適切な運営の具体的な内容は、主に「木竹の伐採」許可の審査基準とされる「風致をそこなうおそれがすくない場合とは高さが5メートルを超える木を、1本伐採する毎に高さ1メートル以上の樹木を1本補植する場合をいう」といういわゆる「一本ルール」に関する4つの問題点にあります。

① そもそも巨木も苗木も一本は一本という基準に説得力がない
②「一本ルール」適用は本来、個人が家を建てる場合に土地の中心に巨木があるなど、止  
むを得ない場合に限定されるべき性質のものであるにもかかわらず、市では公平性、客観性を誤って標榜し、これを例外なく適応する基準として位置づけ(この点は、建築環境課長より文書で確認しています)、甘い審査基準を事務的に濫用している。その結果、木竹の伐採の免罪符としてむしろ木竹の皆伐を促進する結果となっている
③ 市会の審議を経ずに定められた建築局の内規が、市会で定められた条例を事実として骨抜きにしている事態は市民への背信行為である
④ さらに、このような踏み込んだ数値基準は他の大都市にはなく横浜市独自のものであり、制定経緯やその妥当性に疑問がある

山手まちづくり推進会議や住民が正当なプロセスを経て行った「異議申し立て」、その結論が出るまでの間の「執行停止申し立て」を行い、横浜市は正式に受理したにもかかわらず、審査する間、現状を保全するために必要な執行停止命令を出さず、結果としてほどなく樹木が皆伐されたしまった。これは明らかに行政の不作為ではありませんか。

ところで、山手地区では、長年にわたり優れた景観・風致を維持すべく住民のまちづくり推進運動が行政と一体で行われてきた。山手まちづくり協定は、こうした取り組みが体現したものです。

 横浜市も、山手地区景観風致保全要綱を制定するなど山手地区の歴史、その地域特性を守る明確な姿勢をもって一貫して努力を行ってきました。

 こうした地域住民と行政が協力推進してきた山手のまちづくりの在り方は、いわば、山手地区景観風致保全要綱、山手まちづくり協定などの具体的な形をもった「社会的規範」として事実上確立され確かに存在しています。これらの規範に照らして、山手地区景観風致保全要綱では「不承」、山手まちづくり協定では「不適合」とされた今回の計画に関しては、風致地区条例の許可基準を実態に即して判断すれば「不許可」とすることは可能であったと考えられます。

 山手地区のまちづくりの在り方における「社会的規範」を尊重すれば、風致条例の許可の基準の解釈を「一般的な法解釈」で行うことは(つまり、事務的に一本ルールをあてはめ、例外なしとすること)妥当ではないと信じます。

最後に、市民よりみどり税を徴取して、緑の維持、増進を進めている事を考慮すれば、
この風致条例の許可の基準の解釈を「一般的な法解釈」で行うことは誠に異常であり、問題であると思います。

以上述べましたように、行政の指導の矛盾、風致条例の許可の基準の解釈の問題、今後同様な問題が起きないためにはどうすべきかについて、市会にあっても是非審議し、本来の都市計画法の立法趣旨にそった形で、行政が現行の運営の誤りを自覚し風致条例の運営の適正化を図るべく匡正・指導をお願いします。
具体的には、上述の「一本ルール」の適用を、現行のように例外なく「客観的基準」として適用するのではなく、地域特性を踏まえケースごとに判断するように改める、また、本来都市計画法の一部である風致地区条例の所管を建築局ではなく、都市整備局に移管しガバナンスの適正化を図るなどです。

 私たち有志も、山手まちづくり推進会議と連携しつつ、今後この様なことが起きないよう行政側に改善を強く申し入れる所存です。市会にあっても市会の定めた風致条例が誤って運営され続けることで、山手はもちろん横浜市の他の風致地区において、市民と行政がこれまで協力し、気が遠くなるほどの長期間をかけてゆっくりと形成されてきたこれらの風致、景観、まちなみが、自己の利益のみを優先する他地域の業者によって簡単に破壊され永遠に失われてしまう事態を回避すべく、行政への匡正、指導を強くお願い致します。

平成25年5月26日
中区山手町 
小 林 基 雄  
中区山手町
李  宗 憲
中区山手町
土 井 一 人  

●これまでの経過について

Ÿ H24年10月   長谷工が住民説明会を2回開催、39戸の大規模な共同住宅の建設
Ÿ H24年10月25日 新日鉄興和と長谷工が山手まちづくり協定運営委員会に計画届を提出
Ÿ H25年 2月25日 風致地区条例に基づく(木竹の伐採)の許可処分 
・・・(横浜市建築環境課)
Ÿ H25年 2月25日「山手地区景観風致保全要綱」審査 不承処分
・・・(横浜市都市再生推進課)
Ÿ H25年 3月21日 風致地区条例に基づく(建築物の新築)の許可処分
・・・(横浜市建築環境課)
Ÿ H25年 3月25日 建築確認審査 確認処分
・・・(民間審査機関 株式会社都市住居評価センター)
Ÿ H25年 4月15日「山手まちづくり協定」審査 不適合処分
・・・(山手まちづくり協定運営委員会)
Ÿ H25年 4月19日 風致地区内行為許可に対する審査請求申立てと執行停止申立て
・・・(山手まちづくり推進会議)
Ÿ H25年 4月19日 建築確認処分に対する審査請求申立てと執行停止申立て
・・・(山手まちづくり推進会議)
Ÿ H25年 4月30日 風致地区内行為許可に対する異議申立てと執行停止申立て
・・・(山手の景観と環境を守る会)
Ÿ H25年 5月 2日 建築確認処分に対する審査請求申立てと執行停止申立て
・・・(山手の景観と環境を守る会)
Ÿ H25年 5月 7日 敷地の外周部の樹木等が伐採される。       ・・・(長谷工)
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ここに、山手町在住で山手まちづくり推進会議幹事でもある小林基雄さんから、横浜市の幹部に向けた手紙がある。宛先は、横浜市長、建築局長、都市整備局長、環境整備局長、中区長である。

「風致地区条例」、「山手地区景観風致保全要綱」、「山手まちづくり協定」があるにもかかわらず、このところ山手地区において違法でさえなければ周囲の犠牲を顧みることなく自己の利益のみに拘泥する、新日鉄興和や長谷工といった悪質マンション業者によって蛮行ともいえる景観・風致の破壊が堂々と行われていることへの嘆きが、小林さんの手紙の中では痛烈に訴えられています。


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以下、ご本人に許可のもとに手紙を引用しています。

(小林さんから市に宛てた手紙)

横浜市長 様
建築局長 様
都市整備局長 様
環境創造局長 様
中区長 様

〇行政指導の矛盾等について
(横浜市風致地区条例に基づく許可基準 対 山手地区景観風致保全要綱と山手まちづくり協定)

 私は、山手町に住む者ですが、「山手まちづくり推進会議」及び「山手まちづくり協定運営委員会」の委員をしています。
実は、山手町244番地3(旧マースク山手ハウス敷地 約4,244㎡)の貴重な樹木(計136本)のほとんど全てが平成25年5月7~8日に伐採されました。山手町を象徴するヒマラヤ杉などの景観木は全て伐採されました。
山手まちづくり推進会議・山手まちづくり協定運営委員会も、近隣住民も、この貴重な樹木、景観を守るべく全力で取り組みましたが、無残な結果に終わりました。
この原因が何かを明らかにするため、これまでの経緯を紹介させて頂きます。

山手町244番地3(旧マースク山手ハウス敷地 約4,244㎡)において、新日鉄興和不動産(株)及び(株)長谷工コーポレーションによるマンション建設計画 (鉄筋コンクリート造、地上3階、39戸)の申請が、「山手まちづくり協定運営委員会」に平成24年10月に出され、同委員会での審査の結果、平成25年4月15日に不適合と判断し、業者に通知しました。
不適合の内容は、上記建設計画が「山手まちづくり協定」(山手町の住民が定め、横浜市が認定したまちづくりのルール)の「基準4-1景観木の保全」を充たしていないというものです。このため、同委員会は業者に対し以下の要請を行いました。
●敷地の外周部の樹木の保存または移植に努めて下さい。 特に、地域のランドマークになり、
山手らしさを形成している高さ5m以上の樹木(ヒマラヤ杉、クス等)を保存して下さい。
また、マンションが隣地境界から1mの所に建設される計画であり、山手町内に、このような大型の集合住宅が隣地1mに建設された例は無く、これまで住民等の努力で良好に維持されてきた景観や風致が損なわれ、近隣の住環境が大幅に悪化することに加え、プライバシー権等も大きく侵害される恐れもあるため同委員会として許容できるものではない事も伝えました。
なお、不適合の処分決定の前に、長谷工の対応責任者に対し、山手まちづくり協定運営委員会による敷地外周部の樹木保存についての要請を度々行いました。

一方、「山手地区景観風致保全要綱」(山手地区の景観風致を保全するために開発行為等を指導することを目的とするもの)を管轄する横浜市都市整備局都市再生推進課は、計画に対し承認出来ない意味の「不承」とし、業者に以下の指導が行われています。
●建築計画等によって除却することになる樹木は必要最小限とし、道路沿いなど敷地の外周部を重点にできる限りの保存または移植を行うなど、山手地区の景観風致の維持または増進へ十分配慮してください。特に、山手地区の景観を形成している景観木(高さ5m以上で従前の宅地に植樹されているヒマラヤ杉、クスなど)を中心に保存してください。

4,200㎡を超える建設予定地内には山手を象徴し外国人居留地時代からのヒマラヤ杉4本を始め、山手の景観木であるクス、ケヤキ、シイなどの樹木が136本もあり、山手町の宝と言える場所です。(写真1 伐採前の光景)
この景観や環境を守るため、「山手まちづくり推進会議」として、平成25年4月19日に別紙記載の異議申し立てや執行停止申し立て等も横浜市に行いました。

また、近隣住民による「山手の景観と環境を守る会」(代表土井一人)は、反対署名活動やブログ広報活動に加え、異議申し立てや執行停止申し立てを独自に行っています。

しかしながら、執行停止申し立てに対する横浜市からの回答も出ないまま、平成25年5月7日午前より伐採が始まり、翌日には全ての景観木が無残にも伐採されました。残された樹木は、カエデなど10本程度のみとなりました。(写真2 伐採中、伐採後の光景)
伐採直後の現地を見て、余りにも大きな変化、無残な光景に言葉は出ず、涙が出るばかりでした。
伐採前後の現場の写真を見れば一目瞭然ですが、景観が破壊され、風致が全く損なわれていることが確認されます。
景観と環境の良好な山手町に大きな危機が迫っている思いがしました。

「山手まちづくり協定」も「山手地区景観風致保全要綱」も法的拘束力はありません。
従って、業者の良心に訴えるしかないのが実情です。なお、業者は、「横浜市風致地区条例に基づく許可基準」(木竹の伐採)の許可 (高さが5mを超える樹木を伐採する場合は、1本伐採するごとに1m以上の樹木を植樹することで許可される基準です) を受け伐採したものです。

「山手地区景観風致保全要綱」には、保全管理基準として「宅地内に生育している樹木等は、その土地が緑地的効果を維持または増進するよう適切な管理をすること」と定めています。今回の建設計画で、伐採許可を許した部局と、不承として指導を申し入れた部局の両者が連携して対応すれば、この様な惨めな結果はなかったのではと悔やまれます。
更には、風致地区条例は、木竹の伐採は最小限かつ風致をそこなうおそれがない場合に伐採を許可する規定になっているため、風致条例がきちんと守られていれば、上述のような事態は本来起こりえないはずです。

しかし、完膚なきまでに景観・風致の破壊が行われたのは、建築環境課によって風致条例が不適切に運営され、本来違法な許可が与えられたためであると思われます。
条例の不適切な運営の具体的な内容は、主に「木竹の伐採」許可の審査基準とされる「風致をそこなうおそれがすくない場合とは高さが5メートルを超える木を、1本伐採する毎に高さ1メートル以上の樹木を1本補植する場合をいう」といういわゆる「一本ルール」に関する4つの問題点にあります。

① そもそも巨木も苗木も一本は一本という基準に説得力がない
②「一本ルール」適用は本来、個人が家を建てる場合に土地の中心に巨木があるなど、止  
むを得ない場合に限定されるべき性質のものであるにもかかわらず、市では公平性、客観性を誤って標榜し、これを例外なく適応する基準として位置づけ、甘い審査基準を事務的に濫用している。その結果、木竹の伐採の免罪符としてむしろ木竹の皆伐を促進する結果となっている
③ 市会の審議を経ずに定められた建築局の内規が、市会で定められた条例を事実として骨抜きにしている事態は市民への背信行為である
④ さらに、このような踏み込んだ数値基準は他の大都市にはなく横浜市独自のものであり、制定経緯やその妥当性に疑問がある

山手まちづくり推進会議や住民が正当なプロセスを経て行った「異議申し立て」、その結
論が出るまでの間の「執行停止申し立て」を行い、横浜市は正式に受理したにもかかわら
ず、審査する間、現状を保全するために必要な執行停止命令を出さず、結果としてほどな
く樹木が皆伐されたしまった。これは明らかに行政の不作為ではありませんか。

ところで、山手地区では、長年にわたり優れた景観・風致を維持すべく住民のまちづくり推進運動が行政と一体で行われてきた。山手まちづくり協定は、こうした取り組みが体現したものです。

横浜市も、山手地区景観風致保全要綱を制定するなど山手地区の歴史、その地域特性を守る明確な姿勢をもって一貫して努力を行ってきました。

こうした地域住民と行政が協力推進してきた山手のまちづくりの在り方は、いわば、山手地区景観風致保全要綱、山手まちづくり協定などの具体的な形をもった「社会的規範」として事実上確立され確かに存在している。これらの規範に照らして、山手地区景観風致保全要綱では「不承」、山手まちづくり協定では「不適合」とされた今回の計画に関しては、風致地区条例の許可基準を実態に即して判断すれば「不許可」とすることは可能であったと考えられます。

山手地区のまちづくりの在り方における「社会的規範」を尊重すれば、風致条例の許可の基準の解釈を「一般的な法解釈」で行うことは(つまり、事務的に一本ルールをあてはめ、例外なしとすること)妥当ではない。

最後に、市民よりみどり税を徴取して、緑の維持、増進を進めている事を考慮すれば、
この風致条例の許可の基準の解釈を「一般的な法解釈」で行うことは誠に異常であり、問題であると思います。

以上述べましたように、行政の指導の矛盾、風致条例の許可の基準の解釈の問題、今後同様な問題が起きないためにはどうすべきかについて、ご回答をお願いします。
山手まちづくり推進会議としては、今後この様なことが起きないよう行政側に改善を強く申し入れます。

平成25年5月23日
中区山手町
小 林 基 雄  

●これまでの経過について

Ÿ H24年10月   長谷工が住民説明会を2回開催、39戸の大規模な共同住宅の建設
Ÿ H24年10月25日 新日鉄興和と長谷工が山手まちづくり協定運営委員会に計画届を提出
Ÿ H25年 2月25日 風致地区条例に基づく(木竹の伐採)の許可処分 
・・・(横浜市建築環境課)
Ÿ H25年 2月25日「山手地区景観風致保全要綱」審査 不承処分
・・・(横浜市都市再生推進課)
Ÿ H25年 3月21日 風致地区条例に基づく(建築物の新築)の許可処分
・・・(横浜市建築環境課)
Ÿ H25年 3月25日 建築確認審査 確認処分
・・・(民間審査機関 株式会社都市住居評価センター)
Ÿ H25年 4月15日「山手まちづくり協定」審査 不適合処分
・・・(山手まちづくり協定運営委員会)
Ÿ H25年 4月19日 風致地区内行為許可に対する審査請求申立てと執行停止申立て
・・・(山手まちづくり推進会議)
Ÿ H25年 4月19日 建築確認処分に対する審査請求申立てと執行停止申立て
・・・(山手まちづくり推進会議)
Ÿ H25年 4月30日 風致地区内行為許可に対する異議申立てと執行停止申立て
・・・(山手の景観と環境を守る会)
Ÿ H25年 5月 2日 建築確認処分に対する審査請求申立てと執行停止申立て
・・・(山手の景観と環境を守る会)
Ÿ H25年 5月 7日 敷地の外周部の樹木等が伐採される。       ・・・(長谷工)
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これまでの長い歳月をかけ住民と行政で作り上げてきた地域のまちづくり運動を徹底的に無視し、自己の利益最優先で強引なマンション建築を強行しようしている新日鉄興和・長谷工に対して、横浜市は「不承」を、山手まちづくり協定運営委員会は「不適合」をつきつけた。

最新号の「山手まちづくり通信」は、この事案を特集している。

最新号の「山手まちづくり通信」は、NHK、読売新聞、毎日新聞、神奈川新聞などマスコミ各社にもすでに配布し、チャーミングセールで人手の多い横浜元町商店街でも配布された。

次は、山手町町内会を通じて、山手町の全ての家に配布される予定である。

守る会では、現場でも桃太郎旗で「不承」、「不適合」の周知徹底を図る方針である。

とはいえ、新日鉄興和はともかく、長谷工は慣れっこかもしれない。

なんといっても、

♪♪つくってきたからわかるんだ。マンションのことならわかるんだ、長谷工、タッタラタッタタ♪♪

なのだから。。。

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好天のなかチャーミングセールの最終日の本日、横浜元町商店街は大勢の人手で賑わった。

守る会では、山手まちづくり推進会議による「山手まちづくり通信」の最新号-「山手まちづくり協定」の不適合処分を無視し、マンション建設へ-を400部、行き交う買い物客の方々に手渡し配布した。

なかには、自分から取りに来られる方もおり、横浜元町・山手界隈を愛する人たちの同問題への関心の高さがうかがわれた。

新日鉄興和・長谷工の山手「不適合」・「不承」マンション問題は、ある種の「社会的規範」として確立している地域におけるまちづくり運動に対するマンション業者による大きな挑戦であり、今後も、地域主導でのまちづくりの在り方に影響を与える問題であると波紋を広げつつある。

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(チャーミングセールで賑わう元町商店街)
チャーミングセール
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以下は、山手まちづくり推進会議が発行する「山手まちづくり通信」の最新号で、長谷工・新日鉄興和による今回の強引なマンション建築でヒマラヤスギなどの貴重な景観木が皆伐された件が特集されています。

守る会では、この事実を取り上げてもらうべくすでにマスコミ各社にも送付しました。

チャーミングセールで賑わう元町商店街でも、配布する予定です。

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先日(22日)の日経新聞の一面のコラム春秋に、立川志の輔さんの高座での18個の饅頭の話が紹介されている。

「お客が来るからと、饅頭(まんじゅう)を20個買ってくるよう少年が母親から頼まれる。近所の菓子屋には饅頭がちょうど20残っている。しかし、店主に「よかったな。きょうはもうこれきり作らない」と聞かされた少年は、「間違えた。やっぱり18個だった」と言って18だけ買った。帰ってきた少年を母親は「いいことしたね」と褒めた、という話」である。言葉にすればやぼったいが、自分さえよければ、でなく、周りへの目配りが無理なく利いていた、という昔の下町の話である。

自己の権利を違法すれすれまで主張し、違法でさえなければ周囲の被害、迷惑にも一顧だにしない新日鉄興和や長谷工の事業の在り方に決定的に欠けているものは、饅頭18個にあらわれた少年の素朴なやさしさではないだろうか。

重大な社会的な責任に帯びているはずの大企業にあって、とてもはずかしく、そして残念なことである。


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本日(5月22日)、守る会は弁護団とともに横浜市に対して「風致地区内許可行為」処分に対する異議申し立ての口頭意見陳述を行いました。

参加者は、住民側は守る会から2名、弁護士2名の合計4名、横浜市側からは「風致地区内許可行為」処分を行った建築環境課の課長、係長、職員2名の合計4名。

守る会からの論点は以下の通り。

1.木竹の伐採前後の現場の写真を見せ、事実として景観が破壊され、風致が全く損なわれていることを確認。

2.風致地区条例は、木竹の伐採は最小限かつ風致をそこなうおそれがない場合に伐採を許可する規定になっているため、風致条例がきちんと守られていれば、上述のような事態は本来起こりえない。

3.にもかかわらず、ここまで完膚なきまでに景観・風致の破壊が行われたのは、建築環境課によって風致条例が不適切に運営され、本来違法な許可が与えられたためである。

4.風致条例の不適切な運営の具体的な内容は、主に「木竹の伐採」許可の審査基準とされる「風致をそこなうおそれがすくない場合とは高さが5メートルを超える木を、1本伐採する毎に高さ1メートル以上の樹木を1本補植する場合をいう」といういわゆる「一本ルール」に関する4つの問題点にある。

4-1.そもそも巨木も苗木も一本は一本という基準に説得力がない
4-2.「一本ルール」適用は本来、個人が家を建てる場合に土地の中心に巨木があるなど、止むを得ない場合に限定されるべき性質のものであるにもかかわらず、市では公平性、客観性を誤って標榜し、これを例外なく適応する基準として位置づけ、甘い審査基準を事務的に濫用している。その結果、木竹の伐採の免罪符としてむしろ木竹の皆伐を促進する結果となっている
4-3.市会の審議を経ずに定められた建築局の内規が、市会で定められた条例を事実として骨抜きにしている事態は市民への背信行為である
4-4. さらに、このような踏み込んだ数値基準は他の大都市にはなく横浜市独自のものであり、制定経緯やその妥当性に疑問がある

5.住民が正当なプロセスを経て行った「異議申し立て」、その結論が出るまでの間の「執行停止申し立て」を行った。市は正式に受理したにもかかわらず、審査する間、現状を保全するために必要な執行停止命令を出さず、結果としてほどなく樹木が皆伐されたしまった。これは明らかに行政の不作為であり、近隣住民は多大な精神的な苦痛を被り、なかには体調不良に陥ったものもいた。

弁護団からの論点は以下の通り。
1.山手地区では、長年にわたり優れた景観・風致を維持すべく住民のまちづくり推進運動が行政と一体で行われてきた。山手まちづくり協定は、こうした取り組みが体現したものである。

2.横浜市も、山手地区景観風致保全要綱を制定するなど山手地区の歴史、その地域特性を守る明確な姿勢をもって一貫して努力を行ってきた。

3.こうした地域住民と行政が協力推進してきた山手のまちづくりの在り方は、いわば、山手まちづくり協定、山手地区景観風致保全要綱などの具体的な形をもった「社会的規範」として事実上確立され確かに存在している。これらの規範に照らして、山手地区景観風致保全要綱では「不承」、山手まちづくり協定では「不適合」とされた今回の計画に関しては、風致地区条例の許可基準を実態に即して判断すれば「不許可」とすることは十分に可能であったはずであり、むしろ適当であった。

4.山手地区のまちづくりの在り方における「社会的規範」を尊重すれば、風致条例の許可の基準の解釈を「一般的な法解釈」で行うことは(つまり、事務的に一本ルールをあてはめ、例外なしとすること)妥当ではない。

市は今回は意見聴取のみであり、後日書面にて結果を連絡するとのこと。

将来のために、間違いは間違いという勇気ある英断を期待したい。


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(参考資料)

-風致地区内行為許可に関する執行停止申立書
-風致地区内行為許可に関する異議申立書
-補充書面

風致地区内行為許可に関する執行停止申立書

2013年4月30日

横浜市長
林  文 子  殿

申立人ら
               別紙申立人目録記載のとおり
        
         横浜市中区住吉町6-69 馬車道STビル801
星野総合法律事務所
電 話  045-263-6351
FAX  045―263-6352
             申立人ら代理人
              弁護士  星野秀紀

     横浜市中区太田町4丁目55番地 横浜馬車道ビル6階
           馬車道法律事務所
           電 話  045-662-7126
           FAX  045-662-4831
          申立人ら代理人
              弁護士  大野美樹
              弁護士  馬奈木 幹

    東京都港区赤坂2-2-21 永田町法曹ビル
東京合同法律事務所
電 話 03-3586-3651
FAX 03-3505-3976
             申立人ら代理人
              弁護士 馬奈木 厳太郎

 申立ての趣旨
1 横浜市長林文子が平成25年2月25日付横浜市建建環指令第827号をもって新日鉄興和不動産株式会社及び株式会社長谷川コーポレーションに対してなした横浜市風致地区条例第2条第1項第5号の規定に基づく風致地区内行為許可処分の効力は、同処分に関する異議申立の決定がなされるまで停止する。
2 横浜市長林文子が平成25年3月21日付横浜市建建環指令第905号をもって新日鉄興和不動産株式会社及び株式会社長谷川コーポレーションに対してなした横浜市風致地区条例第2条第1項第1号の規定に基づく風致地区内行為許可処分の効力は、同処分に関する異議申立の決定がなされるまで停止する。
3 横浜市長林文子が平成25年3月21日付横浜市建建環指令第901号をもって新日鉄興和不動産株式会社及び株式会社長谷川コーポレーションに対してなした横浜市風致地区条例第2条第1項第1号の規定に基づく風致地区内行為許可処分の効力は、同処分に関する異議申立の決定がなされるまで停止する。
との決定を求める。



申立ての理由
第1 本件許可処分及び申立人適格
 1 本件許可処分
(1)平成25年2月25日付横浜市建建環指令第827号による許可処分(以下「本件許可処分1」という。)
申請者新日鉄興和不動産株式会社及び同株式会社長谷工コーポレーション(以下「申請者ら」という。)は、平成24年12月27日、第三種風致地区である本件風致地区において、同風致地区上に建築物を建築することを前提として木竹伐採許可を申請した。
上記申請は、第三種風致地区における高さが5メートルを超える木を含む木の伐採行為(以下「本件伐採」という。)に関する許可の申請であるところ、横浜市長は、本件伐採が①木竹の伐採が横浜市風致地区条例(以下「風致地区条例」という。)第5条1項8号ア~エのいずれかに該当し、かつ、②伐採の行われる土地及びその周辺の土地の区域における風致をそこなうおそれが少ないとの許可基準(風致地区条例第5条1項8号)に該当するものとして、平成25年2月25日、横浜市建建環指令第827号をもって風致地区条例第2条第1項第5号の規定に基づき本件許可処分1を行った。
 (2)平成25年3月21日付横浜市建建環指令第905号による許可処分(以下「本件許可処分2」という。)
    横浜市長は、本件風致地区のうち北敷地について、申請者らの建築物の新築が風致地区条例第5条第1項第1号ウ(ア)~(キ)の要件を満たすものとして、平成25年3月21日、横浜市建建環指令第905号をもって横浜市風致地区条例第2条第1項第1号の規定に基づき本件許可処分2を行った。
 (3)平成25年3月21日付横浜市建建環指令第901号による許可処分(以下「本件許可処分3」という。)
   横浜市長は、本件風致地区のうち南敷地について、申請者らの建築物の新築(以下、北敷地における建築物の新築と併せて「本件新築」という。)が風致地区条例第5条第1項第1号ウ(ア)~(キ)の要件を満たすものとして、平成25年3月21日、横浜市建建環指令第901号をもって横浜市風致地区条例第2条第1項第1号の規定に基づき本件許可処分3を行った。
 2 申立人適格
   申立人らは、本件開発地区に隣接ないし100メートル以内に居住するものであるところ、平成25年4月30日、横浜市長に対し、本件許可処分を取消すとの決定を求める異議申立をした。
第2 本件許可処分の違法性
 1 本件開発許可処分の違法性について、詳細は異議申立書で述べたとおりであるが、以下に概要を述べる。
 (1)本件許可処分1について風致地区条例第5条第1項第8号柱書前段違反
    本件許可処分1は、本件伐採が風致地区条例第5条第1項第8号前段について、ア「第2条第1項第1号及び第3号に掲げる行為をするために必要な最小限度の木竹の伐採」の要件を満たすものとして許可をしている。
    しかしながら、申請者らが平成25年2月26日に提示した「木竹の伐採」計画によると、合計136本の樹木のうち8本を保存し、14本を移植するほかは、合計114本、既存樹木の約84%にあたる大部分の樹木が伐採されることになっている。加えて、「樹形パイプモデル」に基づいて推計される葉量ベースでは、既存樹木の90%にあたる樹木が伐採され、ヒマラヤスギ、タブ、クス、ケヤキ、シイなど山手町を特徴づける景観木16本については、そのすべてが伐採されることになっている。山手町が、景観木を重要な要素として形成される景観を特徴としており、だからこそ風致地区に指定され、住民らが山手町まちづくり協定においてその風致を維持していることからすると、本件風致地区では極力景観木の保存に努めるべきであって、本件伐採が本件風致地区における建築物の建築をするために「最小限度の木竹の伐採」とはいえない。
    よって、本件許可処分1は、本件伐採が風致地区条例第5条第1項第8号柱書前段アの要件を満たさないのにこれを満たすものとしてなされたものであるから、違法である。
 (2)本件許可処分1について風致地区条例第5条第1項第8号柱書後段違反
    本件伐採によって、「伐採の行われる土地及びその周辺の土地の区域における風致をそこなうおそれが少ない」(風致地区条例第5条第1項第8号柱書後段)とはいえない。
    申請者らが本件伐採において伐採する樹木は、樹齢数十年の歴史ある樹木であって、山手町地区の景観形成に欠かすことのできない樹木である。それゆえ、かかる景観木を伐採すると、本件風致地区における「風致をそこなうおそれ」が明らかであって、「風致をそこなうおそれが少ない」とはいえない。かかるおそれは、「高さが5メートルを超える木を、1本伐採する毎に高さ1メートル以上の樹木を1本補植する」(横浜市風致地区条例審査基準)ことによって補えるものではない。
    したがって、本件許可処分1は、本件伐採が「伐採の行われる土地及びその周辺の土地の区域における風致をそこなうおそれが少ない」(風致地区条例第5条第1項第8号柱書後段)の要件に該当しないのにこれに該当するものとしてなしたものであるから、違法である。
 (3)本件許可処分2及び同3について風致地区条例第5条第1項第1号ウ(カ)違反
    本件新築は、本件新築は、建ぺい率40%・容積率80%、地上3階建て、高さ9.99mの建築物、合計39戸もの大型共同住宅を新築するものであり、近代日本の夜明けに居留外国人によってつくられた街並みと自然環境が調和した住宅・文教地区である山手町において、例のない大型共同住宅の新築である。
かかる本件新築は、明らかに「当該建築物の位置、形態及び意匠が、新築の行われる土地及びその周辺の土地の区域における風致と著しく不調和」であるので、風致地区条例第5条第1項第1号ウ(カ)の要件を満たず、違法である。
よって、本件許可処分2及び同3は、同条項号ウ(カ)に反し、違法である。
(4)本件許可処分1乃至3について山手町まちづくり協定への「不適合」
  山手町まちづくり協定委員会は、申請者らに対し、本件樹木伐採を含む建築物新築計画について、平成25年4月15日付で山手町まちづくり協定に「不適合」と判断するし、その中で「敷地の外周部の樹木の保存または移植に務めて下さい。特に、地域のランドマークになり、山手町らしさを形成している高さ5m以上の樹木(ヒマラヤ杉、クス、ケヤキ、シイ等)の保存に努めて下さい。」と述べて景観木の保存を要請する等し(甲第3号証)、さらに平成25年4月23日には本件木竹伐採許可について横浜市長に対して異議申立・執行停止の申立てを行っている(甲第4号証の1、2)。このことから、本件伐採及びこれを伴う本件新築が山手町まちづくり協定に照らして不当であることは明らかである。
  よって、かかる本件伐採及び本件新築を許可する本件許可処分1乃至3は、山手町まちづくり協定に照らして不当である。
 (5)本件許可処分1乃至3について横浜市都市整備局からの「不承」
    横浜市都市整備局は、申請者らに対し、平成25年3月18日、本件樹木伐採を含む建築物新築計画について、山手町地区景観風致保全要綱上「不承」と判断し、その中で、建築計画等によって除去することとなる樹木は必要最小限とすること、とくに山手町地区の景観を形成している景観木(髙さ5m以上で従前の宅地に植樹されているヒマラヤ杉、クスなど)の保存を要請している(甲第4号証)。このことから、本件伐採及びこれを伴う本件新築が山手町地区景観風致保全要綱に照らして不当であることは明らかである。
    よって、かかる本件伐採及び本件新築を許可する本件許可処分1乃至3は、山手町地区景観風致保全要綱に照らして不当である。
 2 以上のとおり、本件許可処分は、横浜市風致地区条例第5条第1項第8号の許可基準に該当しておらず違法、本件許可処分2及び3は同条項第1号ウ(カ)の許可基準に該当しておらず、いずれも違法である上、本件許可処分1乃至3はいずれも山手町街づくり条例及び山手町地区景観風致保全要綱に照らして不当であるから、取消すべきである。
第3 執行停止の必要性-「処分により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要がある」こと
 1 損害の回復の困難の程度並びに損害の性質及び程度について
 (1)本件許可処分1について
   山手地区は、安政6(1959)年の開港当時から、外国人が遺留地として住み始めて以来、緑豊かで閑静な異国情緒あふれる住宅街、文教地区として発展し、昭和47(1972)年には横浜市が「山手地区景観風致保全要綱」を制定、都市計画法による「住居専用地域としての用途指定」、「横浜市風致地区条例」も制定して、秩序あるまちづくりの誘導に取り組んできた地区である。さらに地域住民や学校等の法人も協力して自発的な「山手まちづくり憲章」を平成10(1998)年に定め、山手らしい魅力あるまちづくりに努めてくるなど、行政・民間が一体となって、長年にわたって景観を守ってきた地区である。
   そうであるところ、本件許可処分1にかかる樹木伐採は、山手町のシンボルマークであるヒマラヤ杉を始め、クス、ケヤキ、シイ等であって、いずれも山手町の景観形成に欠かすことのできない景観木の伐採であり、高さ5m以上の樹齢数十年もの歴史ある樹木の伐採を含むものである。これらの景観木は長年、山手町に生えていて、これにより山手町の景観が維持されてきたのである。山手町が歴史ある景観に重きを置いた風致地区であるので、山手町の住民にとって、景観を形成する景観木の存在は極めて重要であって必要不可欠の存在であり、代替性がない。それゆえ、こうした景観木の伐採による損害は、景観という山手町の存在価値を否定する極めて重大なものといえる。
また、山手町の景観木のなかには高さ5m以上の、樹齢数十年のものもあるところ、これを伐採してしまうと、再び同年数を経るか、同年数の樹齢の同種の樹木を植えるかしなければ、山手町の景観を維持することができず、その損害は回復がほぼ不可能なものというべきである。
 (2)本件許可処分2及び同3について
   また、本件許可処分2及び同3にかかる新築は、こうした歴史ある山手地区において例のない大型共同住宅を新築しようとするものであって、山手地区において長年維持され続けてきた緑豊かで閑静な異国情緒あふれる住宅、文教地区としての景観を崩壊させるものである。かかる景観の損害が極めて重大なものであって、一度このような大型共同住宅が新築されてしまうと、山手地区の景観を回復するのが限りなく不可能に近いことは明らかである。
 2 本件許可処分1乃至3の内容及び性質について
   他方、本件許可処分1乃至3の内容は、申請人らの大型共同住宅の新築及びこれに伴う樹木の伐採を許可するものである。樹木の伐採は、大型共同住宅の建築のために不可欠なものではなく、むしろ景観木を伐採せずに残存させる方が、これまで山手町が培ってきた緑豊かで閑静な異国情緒あふれる住宅街、文教地区としての景観に沿うものといえる。
 3 以上のとおりであるから、本件許可処分1に基づく本件伐採により申立人に生ずる損害及び本件許可処分2並びに同3に基づく本件新築により申立人に生ずる損害は、いずれも、損害の回復の程度を考慮し、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案すると、行政不服審査法第34条4項本文が規定する重大な損害に該当し、その重大な損害を避けるため、本件開発許可の効力を停止すべき緊急の必要がある。
第4 「処分の効力の停止以外の措置によって目的を達することができるとき」に該当しないこと
本件許可処分1乃至3の執行・手続は、いずれもすでに完了済みであって、本件伐採及び本件新築がすでに着手されていることからすると、異議申立てに対する決定がなされるまでの間、本件伐採及び本件新築による申立人らの山手町における歴史ある風致、プライバシー等への侵害を防ぐためには、処分の効力の停止の措置によるほかない。
したがって、本件は「処分の効力の停止以外の措置によって目的を達することができるとき」に該当しない。
第5 結語
  以上の次第であるので、申立の趣旨記載の決定を求める。
以上


風致地区内行為許可に関する異議申立書

平成25年4月30日

横浜市長
林 文子 殿

              異議申立人ら
                 別紙異議申立人目録記載のとおり

         横浜市中区住吉町6-69 馬車道STビル801
星野総合法律事務所
電 話 045-263-6351
FAX 045―263-6352
              異議申立人ら代理人
               弁護士  星野秀紀

         横浜市中区太田町4丁目55番地 横浜馬車道ビル6階
                   馬車道法律事務所(送達場所)
                   電 話 045-662-7126
FAX 045-662-4831
              異議申立人ら代理人
               弁護士 大野美樹
弁護士 馬奈木 幹

東京都港区赤坂2-2-21 永田町法曹ビル
東京合同法律事務所
電 話 03-3586-3651
FAX 03-3505-3976
              異議申立人ら代理人
               弁護士 馬奈木 厳太郎

異議申立ての趣旨
1 横浜市長が平成25年2月25日付横浜市建建環指令第827号をもって新日鉄興和不動産株式会社及び株式会社長谷川コーポレーションに対してなした横浜市風致地区条例第2条第1項第5号の規定に基づく風致地区内行為許可処分を取消す。
2 横浜市長が平成25年3月21日付横浜市建建環指令第901号をもって新日鉄興和不動産株式会社及び株式会社長谷川コーポレーションに対してなした横浜市風致地区条例第2条第1項第1号ウの規定に基づく風致地区内行為許可処分を取消す。
3 横浜市長が平成25年3月21日付横浜市建建環指令第905号をもって新日鉄興和不動産株式会社及び株式会社長谷川コーポレーションに対してなした横浜市風致地区条例第2条第1項第1号ウの規定に基づく風致地区内行為許可処分を取消す。
 との決定を求める。

異議申立ての理由
第1 横浜市風致地区条例第2条第1項に基づく許可処分
 1 同条項第5号に基づく許可処分
   横浜市長は、平成25年2月25日、申請者新日鉄興和不動産株式会社及び同株式会社長谷工コーポレーション(以下「申請者ら」という。)に対し、横浜市風致地区条例(以下「風致地区条例」という。)第2条1項5号に基づき、横浜市建建環指令第827号をもって風致地区内行為許可処分(以下「本件許可処分1」という)をした。
 2 同条項第1号に基づく許可処分
横浜市長は、平成25年3月21日、申請者らに対し、横浜市風致地区条例第2条第1項第1号ウに基づき、横浜市建建環指令第905号及び同第901号をもって、風致地区内行為許可処分(以下「本件許可処分2及び同3」という。)をした。
第2 異議申立人ら
1 異議申立人らは、本件風致地区に隣接ないし100メートル以内に居住するものである。
2 異議申立人らは、平成25年2月28日、本件許可処分1を知り、同年  4月26日、本件許可処分2及び同3を知った。
3 異議申立人らは、本件許可処分1乃至3について、処分の教示を受けて いない。
第3 本件風致地区について
  山手地区は、安政6(1959)年の開港当時から、外国人が遺留地として住み始めて以来、緑豊かで閑静な異国情緒あふれる住宅街、文教地区として発展し、昭和47(1972)年には横浜市が「山手地区景観風致保全要綱」を制定、都市計画法による「住居専用地域としての用途指定」、「横浜市風致地区条例」も制定して、秩序あるまちづくりの誘導に取り組んできた地区である。さらに地域住民や学校等の法人も協力して自発的な「山手まちづくり憲章」を平成10(1998)年に定め、山手らしい魅力あるまちづくりに努めてくるなど、行政・民間が一体となって、長年にわたって景観を守ってきた地区である。
  それゆえ、山手地区にとって、景観木によって形成されるその景観は、極めて重要な価値を有するものである。
第4 本件許可処分1乃至3の違法性・不当性
 1 本件許可処分1の風致地区条例第5条第1項第8号柱書前段違反
(1)本件風致地区内において木竹の伐採を行うためには、横浜市長の許可が必要であり(横浜市風致地区条例(以下「風致地区条例」という。)第2条第1項第5号)、横浜市長が同許可を行うためには、当該伐採が①木竹 の伐採が第5条1項8号ア~エのいずれかに該当し(風致地区条例第5条第1項第8号柱書前段)、かつ、②伐採の行われる土地及びその周辺の土地の区域における風致をそこなうおそれが少ないこと(同条項号柱書後段)、の2つの要件を満たす必要がある。
横浜市建築局建築環境課によると、横浜市長は、本件伐採が風致地区条例第5条第1項第8号前段について、ア「第2条第1項第1号及び第3号に掲げる行為をするために必要な最小限度の木竹の伐採」の要件を満たすものとして許可をした。
(2)しかし、申請者らの本件風致地区内における樹木の伐採(以下「本件伐採」という。)は、多数の既存樹がある中で保存樹はわずかに10本、移植は2本にとどまり、その他多数の高木樹等が伐採される計画になっており、本件風致地区における建築物の新築をするために「最小限度の木竹の伐採」とはいえず、アの要件を満たさない。
(3)よって、本件許可処分1は、風致地区条例第5条第1項第8号柱書前段に反し、違法である。
 2 本件許可処分1の風致地区条例第5条第1項第8号柱書後段違反
(1)また、本件伐採は、「伐採の行われる土地及びその周辺の土地の区域  における風致をそこなうおそれが少ないこと」の要件にも該当しないので、これに該当するものとしてなされた本件許可処分1は、以下に述べるとおり、横浜市風致地区条例第5条第1項第8号柱書後段に反し、違法である。
(2)横浜市は、風致地区条例第5条第1項第8号柱書後段の要件(②)につき、横浜市風致地区条例審査基準において、「条例第5条第8号に規定する風致をそこなうおそれが少ない場合とは、次に該当する場合とする。(1)高さが5メートルを超える木を、1本伐採する毎に高さ1メートル以上の樹木を1本補植する場合。(2)高さが5メートルを超える竹を、20平方メートル伐採する毎に高さ1メートル以上の樹木を1本補植する場合。」と規定する。
しかしながら、この審査基準自体が、要件②を満たす基準とはとうてい言えない。仮に「(1)高さが5メートルを超える木を、1本伐採する毎に高さ1メートル以上の樹木を1本補植する」としても、それだけでは「風致をそこなうおそれが少ない」ことにはならない。本件伐採が、山手まちづくり協定に「不適合」(甲第2号証)、山手地区景観風致保全要綱上「不承」とされ(甲第3号証)、しかも山手まちづくり協定運営委員会が本件許可処分1について異議申立て・執行停止の申立てを行っていること(甲第4号証の1、2)に照らすと、本件伐採は風致地区条例第5条第1項第8号柱書後段の要件(②)を満たさない。
(3)すなわち、後述するとおり、本件伐採を含む申請者らの建築物新築計  画は、山手まちづくり協定委員会から平成25年4月15日付で山手まちづくり協定に「不適合」と判断される(甲第1号証)とともに、横浜市都市整備局から平成25年山手地区景観風致保全要綱上「不承」と判断されている(甲第3号証)。両判断はいずれも、申請者らに対して、山手地区の景観を形成している景観木(髙さ5m以上で従前の宅地に植樹されているヒマラヤ杉、クスなど)の保存を要請している。本件許可処分1について、山手まちづくり協定運営委員会が平成25年4月23日付で異議等を申立てていること(甲第4号証の1、2)を併せ考えると、両判断は、山手地区の景観を形成している景観木の伐採を重要な理由としていることが明らかである。
このように、本件風致地区における本件樹木伐採が、山手まちづくり協定に「不適合」であり、山手地区景観風致保全要綱上「不承」とされ、しかも山手まちづくり協定運営委員会が異議申立てを行っていることからすると、本件樹木伐採は、明らかに本件風致地区の風致をそこなうものであるから、「風致をそこなうおそれが少ない」とはいえず、風致条例第5条1項8号後段の要件を満たさない。
山手まちづくり協定運営委員会や横浜市都市整備局が問題とする景観木は、樹齢数十年の歴史ある樹木であり、その種類は、山手のシンボルマークであるヒマラヤ杉を始め、クス、ケヤキ、シイ等であって、いずれも山手地区の景観形成に欠かすことのできない樹木である。これらの樹木に代替性はない。山手風致地区はこうした景観木を重要な要素として構成されているものであるから、これらを伐採すること自体が山手風致地区の風致をそこなうことは明らかである。かかる景観木を「1本伐採する毎に高さ1メートル以上の樹木を1本補植する」ことで山手の風致を補えるものではない。
(4)よって、本件許可処分1は、風致地区条例第5条第1項第8号柱書後段の要件(②)を満たさず、違法である。
3 本件許可処分2及び同3の風致地区条例第5条第1項第1号ウ(カ)違反
 (1)本件風致地区において建築物を新築するためには、横浜市長の許可が必要であり(風致地区条例第1条第1項第1号)、横浜市長が同許可を行うためには、風致地区条例第5条第1項第1号ウ(ア)~(キ)の要件すべてを満たす必要がある。
    そうであるところ、横浜市長は、申請人らによる本件風致地区内における建築物の新築(以下「本件新築」という。)が上記(ア)~(キ)をすべて満たすものとして、本件風致地区の北敷地について本件許可処分2、南敷地について本件許可処分3を行った。
 (2)しかしながら、本件新築は、建ぺい率40%・容積率80%、地上3階建て、高さ9.99mの建築物、合計39戸もの大型共同住宅を新築するものであり、近代日本の夜明けに居留外国人によってつくられた街並みと自然環境が調和した住宅・文教地区である山手町において、例のない大型共同住宅の新築である。
かかる本件新築は、明らかに「当該建築物の位置、形態及び意匠が、新築の行われる土地及びその周辺の土地の区域における風致と著しく不調和」であるので、風致地区条例第5条第1項第1号ウ(カ)の要件を満たず、違法である。
よって、かかる本件新築を許可した本件許可処分2及び同3は、風致地区条例第5条第1項第1号ウ(カ)に反し、違法である。
 (3)よって、本件許可処分2及び同3は、風致地区条例第5条第1項第1号ウ(カ)の要件を満たさないのにこれを満たすものとしてなされたものであるから、同条項号ウ(カ)に反し、違法である。
4 本件許可処分1乃至3について山手まちづくり協定への「不適合」
山手まちづくり協定委員会は、申請者らに対し、本件樹木伐採を含む建 築物新築計画について、平成25年4月15日付で山手まちづくり協定に「不適合」と判断し、その中で「敷地の外周部の樹木の保存または移植に務めて下さい。特に、地域のランドマークになり、山手らしさを形成している高さ5m以上の樹木(ヒマラヤ杉、クス、ケヤキ、シイ等)の保存に努めて下さい。」と述べて景観木の保存を要請するとともに、「隣地1m大型集合住宅を建設することは、山手町内には例が無く、これまで住民等の努力で良好に維持されてきた景観や風致が損なわれ近隣の住環境が大幅に悪化するだけでなく、プライバシー権等も大きく侵害されることになり、当委員会として許容できるものではありません。」と述べている(甲第2号証)。さらに、同委員会は、平成25年4月23日には本件木竹伐採許可について横浜市長に対して異議申立等を行っている(甲第4号証の1、2)。
こうしたことからすると、本件伐採及びこれを伴う本件新築が山手まちづくり協定に照らして不当であることは明らかである。
よって、かかる本件伐採及び本件新築を許可する本件許可処分1乃至3は、山手まちづくり協定に照らし、不当である。
5 本件許可処分1乃至3について横浜市都市整備局からの「不承」
横浜市都市整備局は、申請者らに対し、平成25年3月18日、本件樹木伐採を伴う建築物新築計画について、山手地区景観風致保全要綱上「不承」と判断し、その中で、建築計画等によって除去することとなる樹木は必要最小限とすること、とくに山手地区の景観を形成している景観木(髙さ5m以上で従前の宅地に植樹されているヒマラヤ杉、クスなど)を保存することを要請している(甲第3号証)。このことから、本件伐採及びこれを伴う本件新築が山手地区景観風致保全要綱に照らして不当であることは明らかである。
よって、かかる本件伐採及び本件新築を許可する本件許可処分1乃至3は、山手地区景観風致保全要綱に照らし、不当である。
第5 結論
以上のとおり、本件許可処分1は風致地区条例第5条第1項第8号の許可基準に該当しておらず、本件許可処分2及び3は同条項第1号ウ(カ)の許可基準に該当しておらず、いずれも違法である上、本件許可処分1乃至3はいずれも山手街づくり条例及び山手地区景観風致保全要綱に照らして不当であるから、取消すべきである。
以上
添付資料
 甲第1号証 山手まちづくりガイドブック
 甲第2号証 山手まちづくり協定に基づく建築行為・開発行為計画届
 甲第3号証 山手地区景観風致保全要綱申請書
 甲第4号証の1 山手まちづくり協定運営委員会による異議申立書
 甲第4号証の2 山手まちづくり協定運営委員会による執行停止申立書


補充書面

平成25年5月22日

横浜市長
林 文子 殿


         横浜市中区住吉町6-69 馬車道STビル801
星野総合法律事務所
電 話 045-263-6351
FAX 045―263-6352
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               弁護士  星野秀紀

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              異議申立人ら代理人
               弁護士 大野美樹
弁護士 馬奈木 幹

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東京合同法律事務所
電 話 03-3586-3651
FAX 03-3505-3976
              異議申立人ら代理人
               弁護士 馬奈木 厳太郎






第1 山手地区について
 1 歴史  
  山手地区は、安政6(1959)年の横浜開港当時から、外国人が居留地として住み始め、その地形から「THE BLUFF」と呼ばれてきた。明治初期には道路が整備され公園が開園するなど、現在に引き継がれている街の骨格が出来上がったとされる。中期になると煉瓦造の本格的な西洋館が登場するなど山手の異国情緒は一段と高まった。
  その後、関東大震災により当時存在した西洋館のほとんどが倒壊してしまったため、現在山手に残る古い西洋館は、大多数がこの時期に建築されたものである。
  第二次世界大戦による被害は関東大震災に比べて少なく、むしろ戦後の住宅地開発が山手の景観に変化をもたらした。昭和40年代に入るとマンション建設の波が山手にも押し寄せた。横浜市は、市民からの要望を受け、異国情緒あふれる景観の保全や眺望の確保を図るための制度として、「山手地区景観風致保全要綱」を制定し、建物の規模や形態・意匠などについて、建築計画等一件毎に事業者に対し協力を求めてきた。
山手地区は、横浜開港当時からの長年の歴史を積み重ねてつくられてきた街、市民の声を受けて横浜市自身も保全してきたものである。
2 異国情緒あふれる緑豊かな住宅地・文教地区であること
  山手地区は、異国情緒あふれる街並みと自然環境が調和した住宅地であり、文教地区である。
港のみえる丘公園内に横浜市イギリス館(横浜市指定文化財)、「山手111番館」フランス領事館公邸跡があるほか、元町公園に隣接してエリスマン邸(横浜市認定歴史的建造物)、ベ―リックホール(横浜市認定歴史的建造物)、イタリア山庭園内には、外交官の家(旧内田家住宅、国の重要文化財)、ブラフ18番館(横浜市認定歴史的建造物)といった歴史ある洋館が立ち並び、著名な観光名所となっている。いうまでもなく、横浜市イギリス館は横浜市によって指定文化財に指定され、エリスマン邸、ベ―リックホール、ブラフ18番館は、歴史的建造物に認定されているものであり、外交官の家(旧内田家住宅)は国の重要文化財に指定されている。さらに、韓国領事館も存在し、人口約5000 人のうち、約15%は30 カ国よりなる外国人が住むといわれている国際色に富んだ街である(甲5)。
また、明治期からの歴史を持つミッションスクールを始めとする13 の教育施設がある文教地区でもあり、人口に倍する児童や生徒、山手を探訪する市民・観光客が毎日訪れる活気のある街といえる(甲5)
   本件許可処分の対象行為の行われる本件風致地区は、まさに、こうした異国情緒あふれる文化的な文教地区のなかにあって、正面にヘボン博士邸跡地、隣地に谷崎潤一郎邸跡地を携えて立地しているのである。
3 樹木
山手地区は、上に述べたとおり、緑豊かな地区である。高さ5m以上のヒマラヤ杉、タブ、クス、ケヤキ等の古木、大木の樹木が多数存在し、地域のランドマークになっている。これらの樹木のなかには、樹齢数十年のものも少なくない。開港当時から数十年にわたり、住民が世代を超えて守り続けてきた樹木であり、貴重な樹木である。これらの樹木は、異国情緒あふれる住宅や公園、外国人墓地等のいたるところに生殖し、山手地区の街なみを形成している。山手地区に欠かせない一部であり、異議申立人らを含む住民らの生活の一部である。住民らは、歴史ある樹木が数多く繁る緑豊かな山手地区で豊かな生活を送ることを求めて、この地を居住地として選択し、生活している。それゆえ、住民らにとって、山手地区の樹木は極めて重要な意義を有する。

第2 協定・要綱がつくられてきた経緯
1 横浜市は、昭和45(1970)年6月12日、風致地区内における建築物の建築、宅地の造成、木竹の伐採その他の行為について、横浜市における都市の風致を維持するため必要な規制を行う目的で、都市計画法第58条に基づき、横浜市風致地区条例を制定した(風致地区条例第1条)。その上で、山手地区については、横浜市は、無秩序な住宅開発を制限し、異国情緒あふれる景観の保全や眺望の確保を図るための制度として、昭和47(1972)年11月13日、「山手地区景観風致保全要綱」(以下「要綱」という。)を制定し、山手地区における建築行為等の誘導を行ってきた。また、平成10(1998)年9月には、地域住民や学校等の法人も協力して自発的に、山手のまちづくりの理念である「山手まちづくり憲章」を定め、山手らしい魅力あるまちづくりに努めてきた。
2 さらに、平成13(2001)年に起きたミッションスクール・セイントジョセフ校の廃止と跡地のマンション開発を契機に、行政委せの「山手のまちづくり」を憂慮した住民有志が、地域住民の声を十分にまちづくりに反映させられる新しいまちづくり組織をつくろうと考え、平成14(2002)年6月、山手東部町内会・山手西部自治会の参加のもと、「山手まちづくり推進会議」を設立した。
山手まちづくり推進会議は、平成15(2003)年12月、「山手町内地区地区計画」を提案して横浜市に働きかけ、平成16(2004)年2月に同計画の条例化を実現させた。また、同会議は、平成17(2005)年2月には、山手のまちづくりの指針として「山手まちづくり協定」(以下「まちづくり協定」という。)を締結、平成19(2007)年12月には山手のまちづくりの具体的なプランとして「山手まちづくりプラン2007」(以下「まちづくりプラン」という。)を策定し、翌平成20(2008)年4月には、横浜市が同プランを認定するに至った。「山手まちづくりガイドブック(甲1)」は、山手まちづくり推進会議が平成22(2010)年2月に作成した、横浜市中区山手町全域内の地権者、住民、行政機関等の守るべき協定内容と手続に関して記載した解説書である。
3 このように、山手地区の景観風致の維持・保護について、住民の自治組織である「山手まちづくり推進会議」が主体となって、横浜市に働きかけ、横浜市と共同して、要綱・まちづくり協定・まちづくりプランなど種々の規範を確立してきたのである。山手地区は、文字通り、住民自身の手でまちづくりが行われてきた、全国でも例をみない地域なのである。
こうした経緯でつくられてきた山手まちづくり憲章、山手町内地区地区計画、まちづくり協定、まちづくりプランといった一連の規範は、まさに山手の地域に密着した、地域共同体の価値観が表現された規定というべきである。
そして、地方自治の本旨である住民自治(憲法92条)に照らし、地域のまちづくりは本来的には地域住民の手でつくられていくべきであること、まちづくり協定第2条第2項において、「住む人、学ぶ人、働く人、訪れる人、行政等、山手に関わる様々な人の知恵と力を集めてまちづくりを進め」ること(目標5)が目標として掲げられていることを併せ考えると、横浜市には、山手地区のまちづくり行政を行う上で、これら一連の規範に表れている住民の価値観を最大限に尊重し、かかる価値観に沿ったまちづくりを住民と共同して行っていくことが求められる。

第3 本件風致地区内行為許可処分の違法性
 1 山手地区における風致地区条例の要件の解釈・運用のあり方
いうまでもなく、風致地区条例は、都市計画法第58条1項の規定に基づき、風致地区内における建築物の建築、宅地の造成等の行為の規制に関し必要な事項を定めることを目的とする(第1条)ものであり、およそ横浜市内の風致地区全域について一般的に定めたものである。上に述べたように風致地区のなかでも特に住民が自ら規範を規定・策定して横浜市とともにまちづくりを行ってきた山手地区についても、風致地区条例を単純に解釈・適用を行うべきものではない。少なくとも、山手地区においては、山手の地域共同体の価値観の表現であるまちづくり協定・まちづくりプラン等の趣旨に照らして、解釈・適用すべきである。このことは、条例の要件の解釈に関する横浜市の内部規定である審査基準の策定においても、同様である。
2 本件許可処分1の違法性
 (1)山手地区における「伐採の行われる土地及びその周辺の土地の区域における風致をそこなうおそれが少ないこと」の解釈
  ア 風致地区条例第5条第1項第8号柱書後段の「伐採の行われる土地及びその周辺の土地の区域における風致をそこなうおそれが少ないこと」については、山手地区の住民が長い年月をかけてどういう街並みを守り、つくってきたか、即ち、それを端的に表す山手まちづくり憲章、まちづくり協定、及びまちづくりプラン等の趣旨に照らして解釈・適用すべきである。
  イ そうであるところ、山手まちづくり憲章には、山手の優れた環境と歴史的遺産・遺構を活かした魅力あるまちづくりを進めるために、緑のまち『山手』を形成する自然環境を守り育てることを目標とすること、その目標を達成するために山手の住民のみならず、山手で働く人・学ぶ人・訪れる人がそれぞれ山手の地域の環境形成等に努めるべきこと、さらに区・市等の行政等も住民とのパートナーシップに則り、まちづくり憲章を尊重し、まちづくりの先導的な役割を果たすものとすることが理念として掲げられている。
これを受けて、まちづくり協定は「住民と山手にかかわる人々が交流し、新たな文化を創り出す、歴史と緑あふれる住宅・文教地区」という山手のまちの将来像を理念として掲げ(第1条)、かかるまちの将来像を実現するため、「住宅・文教地区山手の良好な環境を維持しながら、山手を訪れる人達にとっても快適なまちを創」ること(目標1)とともに、「山手らしい特色を作り出している歴史、緑、眺望といった魅力資源を大切にしてい」くこと(目標2)を目標としている(第2条)。そうして、かかる目標2に沿った具体的な指針として、「地域のランドマークになり、山手らしさを形成している高さ5m以上の樹木(ヒマラヤ杉、タブ、クス、ケヤキ等の古木、大木)」の保存に努めるべきこと(基準4-1)、「宅地内に育成している樹木等を適切に管理」するべきこと(基準4-2)、「門の際など道路境界付近に、それぞれの家を象徴するような高木を育成し、緑豊かな街路景観を形成するよう努め」るべきこと(基準4-3)、「身近な公園は、地域住民の手で日常管理に努め」、「切土や盛土、敷地境界の変更などを行う開発を行う場合は、現況地形を尊重した敷地計画や新たに設置する人口構造物の緑被に努め」るべきこと(基準4-4)を定めている。共同住宅等の建設に対する基準としては、「計画敷地内の既存樹木はできる限り保存するよう造成計画や建物配置計画を行」うべきことを定めている(基準1-4)。
さらなる具体的プランとして、まちづくりプランは、道路側に宅地のシンボルツリーを植樹する、透過性のあるフェンスと植栽を組み合わせる等の緑被の仕方を定め、樹木を宅地に植えて緑被することを定めている。
  ウ これらの一連の規範の文言等に照らすと、その趣旨が、山手のシンボルマークである景観樹を含む高さ5m以上の樹木を可能な限り保全し、歴史的・文化的な住宅と自然環境の調和した街並みを守り、つくることにあることは明白である。
したがって、山手地区においては、横浜市風致地区条例審査基準に規定される「(1)高さが5メートルを超える木を、1本伐採する毎に高さ1メートル以上の樹木を1本補植する場合」をもって、「風致をそこなうおそれが少ない」ということはできず、山手のシンボルマークである景観樹を含む高さ5m以上の樹木を可能な限り保全し、歴史的・文化的な住宅と自然環境の調和した街並みが守られてはじめて、「風致をそこなうおそれが少ない」といえる。
そして、以下で詳述するとおり、本件のように山手のシンボルマークである景観樹を含む高さ5m以上に生い茂った樹木を悉く伐採することは、山手の住民が守り、つくってきた山手の街並みを破壊するものであり、風致をそこなうものである。
 (2)本件伐採が上記要件を満たしていないこと
    本件伐採は、樹齢数十年もの樹木75本中、6本のみを残して他はすべて伐採しようとするものである。伐採対象である樹木には、地域のランドマークになり、山手らしさを形成している高さ5m以上の樹木(ヒマラヤ杉、タブ、クス、ケヤキ等の古木、大木)も多数含まれる。本件伐採が実行されると、こうした山手らしさを形成している樹木が多数失われ、これまで山手の住民等が長い歴史・年月をかけて守り育ててき、野鳥の住まいともなっていた豊かな緑が一瞬にして破壊されることになるのであるから、本件伐採は「伐採の行われる土地及びその周辺の土地の区域における風致をそこなう」ものである。
    このことは、本件伐採の計画について、山手まちづくり推進会議の下部組織である山手まちづくり協定運営委員会が山手まちづくり協定(以下「協定」という。)に不適合と判断した(甲2)だけでなく、横浜市自身も山手地区景観風致保全要綱(以下「要綱」という。)に照らして不承と判断したこと(甲3)、さらに本件許可処分1がなされたのに対して、山手まちづくり協定運営委員会が異議申立て及び執行停止の申立てを行っていること(甲4の1~2)からも明らかである。
    よって、本件伐採は「伐採の行われる土地及びその周辺の土地の区域における風致をそこなうおそれが少ない」との要件を満たさず、それにもかかわらずこれを満たすものとしてなされた本件許可処分1は違法である。
 4 本件許可処分2及び3の違法性
 (1)山手地区における「風致と著しく不調和でないこと」の解釈
  ア 本件新築が満たすとされる「建築物にあっては当該建築物の位置、形態及び意匠が新築の行なわれる土地及びその周辺の土地の区域における風致と著しく不調和でないこと」(横浜市風致地区条例第5条第1項第1号ウ(カ))の要件についても、山手まちづくり憲章を始めとする一連の規範の趣旨に照らして解釈・適用すべきである。
  イ そうであるところ、山手まちづくり憲章は、宅地を中心とした山手にふさわしい優れた街並みを維持していくことを理念として掲げ、これを実現するための指針として、まちづくり協定は、山手らしい景観を維持し、低層、低密の建て詰まりの無いゆったりとした宅地環境を守ることを目標とし(方針1)、具体的には、ゆとりある敷地の確保に努め、低敷地規模を原則とすることを定めている。
  ウ そうすると、「建築物の形態が新築の行われる土地及びその周辺の土地の区域における風致と著しく不調和でないこと」とは、新築予定の建築物がこれまでの山手の街並みに沿ったものであって、低層、低密の建て詰まりのないゆったりとした宅地環境を著しく壊すものではないことと解するのが相当である。
(2)本件新築が上記要件を満たしていないこと
    本件新築の予定する建築物は、隣地から1m後退した位置に建築されるもので、そのこと自体は適合ではある。
しかしながら、本件新築は、建ぺい率40%・容積率80%、地上3階建て、高さ9.99mの建築物、合計39戸もの大型共同住宅を新築するものであり、近代日本の夜明けに居留外国人によってつくられた街並みと自然環境が調和した住宅・文教地区である山手町において、例のない大型共同住宅の新築である。隣地1mにかかる大型集合住宅を建設することはもちろん、山手町内には例が無く、ゆったりとした戸建住宅がほとんどであることを考えると、本件新築は、これまで住民が維持してきたゆったりとした宅地環境を著しく壊すものであることが明らかである。上記大型共同住宅が建築されると、これまで住民等の努力で維持されてきた景観や風致が損なわれ、近隣の住環境が大幅に悪化することになる。このことは、山手まちづくり協定運営委員会が指摘する通りである(甲2、甲4の1~2)。
   よって、本件許可処分2乃至3は、本件新築が「建築物の形態が新築の行われる土地及びその周辺の土地の区域における風致と著しく不調和でないこと」(風致地区条例第5条第1項第1号ウ(カ))という要件を満たしていないにもかかわらず、これを満たすものとしてなされたものであるから、違法である。

第4 本件風致地区内行為許可処分の不当性
 1 不当性1(「不適合」「不承」の判断に反する判断であること)
   また、本件伐採及び本件新築を含む申請者らの計画は、山手まちづくり協定運営委員会によって、まちづくり協定に不適合と判断されるとともに、横浜市自身によって要綱上不承と判断されている。それゆえ、上記計画は、住民のまちづくりの価値観に明らかに反する上、横浜市自身のまちづくりの指針にも反するものであり、それにもかかわらず、これらを許可する本件許可処分1乃至3が不当であることは明白である。そうであるのみならず、上記計画に関し、景観風致・まちづくりといった同一目的のチェック過程において、横浜市が一方で要綱に照らして「不承」と判断しながら、他方で「許可」を行うという行為自体、自己矛盾の判断であって、到底許されない。
   山手地区を構成する住民が街並みづくりの観点から「不適合」と判断し、横浜市自身、街並みづくりの観点から「不承」であると判断したのであるから、こうした価値観を尊重し、山手地区における景観風致を保護する目的で規制されるべき「風致地区」内行為の許可・不許可の判断においても、当然、不許可の判断がなされるべきである。
   よって、上記「不適合」「不承」の判断に反する本件許可処分1乃至3は、少なくとも不当というべきである。
 2 不当性2(山手まちづくり協定運営委員会の不適合の判断、横浜市都市整備局都市再生推進課の不承の判断を無視するものであること)
   横浜市は、同地区内の風致地区内行為の許可・不許可を判断する過程において、長年かけてつくられてきた山手の街並みに沿うものとするべく、上記行為を予定する者に対して、2つのチェック手続きを定めている。すなわち、事前相談時に山手まちづくりガイドブックの説明をした上で、①山手まちづくり協定の届出をさせ、内容を確認し、まちづくり協定に「不適合」の場合は是正を要請する、さらに行政手続が必要な工事等の場合には②要綱の協議・山手地区地区計画の届出というチェック手続きが定められている。これらの手続は、手続内の意見や協議を通じて、申請者に対し、風致地区内行為の内容を山手の街並みに沿うような変更を促し、もって山手の街並みを保全することを目的とするものである。
   そうであるところ、本件申請者らは、形式的に①②の手続を経ただけであり、いずれにおいても「不適合」「不承」という判断を受けていながら、計画をわずかに変更したのみで、概ね変更することなくこれらの判断をほとんど無視した内容の計画のままで、最終的には風致地区条例上の要件を形式的に満たしているとの判断を得て、本件風致地区内行為許可1乃至3を得たものである。横浜市がこのように、実質的には上記手続内において不当である旨の判断を二重に受けた行為について、申請者らがそれを「適合」「承認」の域までに変更していないにもかかわらず、条例の審査基準だけを根拠に、形式的に条例の要件を満たすことをもって許可を出すということは、山手地区の風致を維持するために、長い歴史の中で構築された、山手まちづくり協定運営委員会の適合・不適合の判断、及び横浜市都市整備局都市再生推進課の承認・不承の判断の手続きを無にするものであり、このようなことが許されては、山手まちづくり協定運営委員会の不適合の判断、横浜市都市整備局都市再生推進課の不承の判断の存在意義を根本から失わせることになる。したがって、山手まちづくり協定運営委員会の不適合の判断、及び横浜市都市整備局都市再生推進課の不承の判断に反する風致地区内行為は、不当である。
   したがって、この意味でも、本件風致地区内行為許可1乃至3が不当であることは明らかである。

第5 まとめ
  以上に述べたとおり、本件許可処分1乃至3は、いずれも風致地区条例に反して違法であるか、少なくとも、まちづくり協定や要綱等に明らかに反して不当であるから、取り消されるべきである。
以上

添付書類
甲5 山手まちづくりプラン2007

甲6 別紙住宅地図

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守る会は、以前にもご報告の通り、横浜市に対して、市のなした風致地区における「木竹の伐採」許可に対して、風致条例が正しく解釈・運営されていないとして、異議申し立てを行った。同時に、異議申し立ての審議に時間を要する間、樹木のある現状を保全すべく「執行停止の申し立て」も行った。

本来であれば、「異議申し立て」を受理した以上、「執行停止の申し立て」を早急に検討し執行停止命令を業者に対して出して現況を保全した上で、「異議申し立て」の審議を行うべきである。

しかし、市は「異議申し立て」の結論がでなければ、「執行停止」を命令できないという屁理屈をこね、長谷工に対して「執行停止命令」を行わなかった。その結果、ほどなく木々は皆伐されてしまった。

こうした行政の不作為の結果、取り返しのつかない事態に至っている。正当な手続きを経て審議を求めているのに、行政の無知、怠慢、不作為から樹木が皆伐されてしまったことによって被った近隣住民の精神的な苦痛に対して、行政はどのような償いができるのか。


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近隣のお宅のこの小さなかわいい子犬が、長谷工・新日鉄興和による解体工事と騒音と振動で、すっかりノイローゼになってしまったとのこと。今では、クーラーや掃除機の音にもおびえてカタカタ震えているそうです。かわいそうでなりません。長谷工・新日鉄興和への怒りで一杯です。

人間や環境に配慮することなく自己の利益のみををひたむきに追求する鬼畜長谷工・新日鉄興和には、震える子犬を気遣う人間の心はないのか。


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これが、鬼畜長谷工、新日鉄興和の蛮行の結果である。山手町の住民は皆怒り、悲しんでいる。

このマンションは、やはり、山手まちづくり協定「不適合」マンション、横浜市「不承」マンションである。


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横浜市の基準では、切土・盛土などの土地の形の変更といった開発行為の面積が500平方メートルを超えると開発行為である。

山手町244番地の長谷工・新日鉄による不承・不適合マンションの場合、切土が562.9平方メートル、盛土が34.2平方メートルとなり、開発行為に該当しているはずのところ、最大ののりの高さを2メートル以下に抑えることで、どうやら開発行為をのがれているようだ。

しかし、実際の図面を詳細にみると最大のりは2メートルを超えているようである。

さらに、本来残るべき北敷地と南敷地の境界部分の階段は撤去されており、これが復元されると長谷工は主張しているが、そうするとさらに盛土が発生するはずであるが、これらは申請書類には記されていない。

さすが、社長以下長谷工は偽装上手である。
つくってきたからわかるんだ、長谷工、タラタッタタタ♪♪
建築審査会で会いましょう。タラタッタタタ♪♪


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これを「皆伐(かいばつ)」といわずしてなんというのか。横浜市に説明を求めたい。


(伐採後)



(伐採前)


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このような10メートル級のヒマラヤスギの貴重な巨木をわざわざ伐採しなくても、同じ大きさの建物は立つ。それなのに、なぜ自分たちの計画にのみ固執し、市からは「不承」マンション、山手まちづくり協定運営委員会からは「不適合」マンションといわれてまで、これらの樹木たちを伐採する必要がはたしてあったのだろうか。。。これほどの木が育つには、気が遠くなるほど長い時間を要するというのに。

自称、環境企業の新日鉄興和、鬼畜長谷工、一体なぜなんだ??


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(伐採前のヒマラヤスギ)


(自称環境企業 新日鉄興和と鬼畜 長谷工によるヒマラヤスギの伐採)








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怒りと無念で言葉もない。
鬼畜長谷工、因果応報を忘れるな。


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擁壁工事前2

擁壁撤去

写真は工事現場のものである(上の写真の丸で囲った部分が下の写真の状態へと「形」に変更が加えられている)。

もともと敷地内の北部分の南部分の地盤に数メートルの高低差があるが、今回のマンション計画では地形をそのままにして建物を建築するというプランということで、横浜市は開発行為許可は不要と判断している。

しかし、本来残すべき、現実には北部分の南部分の間にあった擁壁(ようへき)・階段が完全に除去され、高低差がブルドーザーで均されている。これは土地の「形」の変更であり、明らかに開発行為ではないか?

横浜市は、最終的には長谷工は当初図面に戻すと主張しているので現段階では違法とは言えないと判断しているとのことである。

しかし、こうした判断は、常識的にも理解しがたいだけでなく、本来の法の主旨から外れた間違った判断ではないか。間違った判断を根拠にしかるべき対応をとらないのは不作為ではないか?

それにしても、極めて悪質な事実上の脱法行為である。タッタラタッタタの長谷工はともかく、土地の80%を所有する事実上の事業主であり長谷工を監理監督する立場にある新日鉄興和は、こうしたやり方をなぜ黙認するのか?Natoinal Establishmentとしての新日鉄興和の良識・良心はどこにいったのだ。


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2013年3月25日付で新日鉄興和・長谷工のマンション建築計画についてなされた建築確認処分に対して、私たち「守る会」は、弁護団を通じて、5月2日付で横浜市建築審査会あてに審査請求を行い、建築確認処分の取り消しを求めた。同時に、建築確認の取り消しの裁決が出されるまでの間、建築確認の効力の停止を求めるべく「執行停止申し立て」も行った。

なお、守る会で情報開示請求したところ、山手まちづくり協定運営委員会でも、同計画の建築確認に対して同様の「異議申し立て」、「執行停止申し立て」を行っている。

今回の新日鉄興和・長谷工の強引なマンション計画から山手の景観・まちなみを守るための、今回の法的な対抗措置は、4月30日付けで行った風致地区内行為許可に関して、林文子横浜市長に対して行った「異議申し立て」及び「執行停止申し立て」に続くものである。

さらに、本日5月2日に横浜市建築審査会に「審査請求」、「執行停止申し立て」を行った後、横浜市役所にある横浜市政記者クラブで合同記者会見を行った。主要マスコミ各社の参加を得、今回のマンション計画の投げかける様々な社会的な問題に対する問題意識や関心が高まることに期待したい。

当然、少なくともこの問題が決着するまでは、残されている樹木の伐採を延期するのが、社会的責任のある大企業たる新日鉄興和・長谷工の最低限の良識であろう。マンションのことならわかるタッタラタッタタの長谷工はともかくとして、土地の80%を保有する実質的事業主であり、新日鉄住金、第一生命、日本生命といった日本のNational Establishmentを株主とする新日鉄興和の真の企業倫理が問われる


(横浜市政記者クラブでの合同記者会見 2013/5/2)
合同記者会見s

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開発行為許可不要との市の判断のもとになっている長谷工により提出された図面と実際の工事現場が異なっている旨を、4月16日に横浜市建築局宅地審査課に連絡し、対処を求めていたのに対して、4月26日に建築局宅地審査課よりの回答は以下の通りであった。

1)現場を見、図面と異なることは確認した。
2)長谷工は最終的には提出図面通り、よう壁と階段を再構築すると主張している。
3)最終形が提出図面通りであれば、問題ないとするしかなく、現段階ではなんとも言えない。

これを受けて、長谷工は安心したのか、今度は堂々と残っていた両脇の階段も撤去し、ブルドーザーで完全に地形を変質させている。これを開発行為といわずになんというのか。実質的に無許可での開発行為ではないか。本来、止むを得ない部分だけ壊してあとで戻すというのが、本来の在り方のはずだ。これでは、なんでもありである。

長谷工は横浜市や近隣住民を完全になめきっている。

それにしても、極めて悪質な事実上の脱法行為である。こうしたやり方を、新日鉄興和は確信犯的に黙認するのか?新日鉄興和のNatoinal Establishmentの良識・良心はどこにいったのだ。

謎の階段maru

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プロフィール

山手の景観と環境を守る会

Author:山手の景観と環境を守る会
横浜山手は、外国人居留地時代のなごりを残す異国情緒あふれる美しい街並みと緑あふれる自然環境が見事に調和した住宅・文教地区です。また山手は、住民のみならず、多くの横浜市民、神奈川県民にとっても大切な思い出とともに心に残る印象深い町であり、何ものにも代えがたい貴重な共通財産でもあります。こうした歴史を今に受け継ぐ美しい山手町を心から愛し、誇りに思うからこそこの町を醜悪なマンション計画-ハイコート山手パレ244-から守りたいのです。

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