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文京区小石川2丁目の完成間近のマンション「ル・サンク小石川後楽園」に対する建築確認に対して、執行停止処分を東京都建築審査会で決定したとのことです。

東京都建築審査会がマンションに対して建築確認の執行停止の決定処分を出すのは初めてとのことで、極めて画期的な大英断だと思います。この勝利を勝ち取られた住民の方々の足掛け10年以上の頑張りにも頭が下がります。

この計画には、避難計画などに関する違法性があったようですが、事業者は長屋計画とするなどでこうした違法性を逃れようとしていたようです。建築確認を出した処分庁も建築図面を東京建築審査会に提出しないなど対応面の問題もあったようです。つまりは、処分庁も建築確認の違法性を認識していたのでしょう。マンション業者が建築確認を業者にやらせる仕組みでは、どこまでも業者より計画になってしまう。こうした建築確認の仕組みそのものも問題ではないか。ガバナンス改善の余地があるはずである。

最後に、これほど画期的な事件にもかかわらず、ブログで論じられるだけで、マスコミでほとんど報じられないのは一体なぜなのか。マスメデイアも大広告主のマンション業界を向こうに回したくないというのが本音だろうか。

住民の皆さんのさらなる頑張りに期待しています。

この件の詳細はこちら。
小石川二丁目マンションの無秩序な開発・建築を考える

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工事差し止め仮処分申立を横浜地裁が却下したことを不服として、東京高裁に即時抗告していたが、先日東京高裁から決定文が届いた。内容は、既に建築が完成している以上建築続行禁止の仮処分を求める目的が消滅したとの理由で、抗告申立却下とのことであった。

結局、多い日には100人以上の労働者をかき集め工事を急ぎ、既成事実を積み上げた長谷工・新日鉄興和の作戦勝ちであった。

緊急性を要する仮処分を申立ているにもかかわらず、横浜地裁は、3か月も審尋を繰り返し、挙句の果ての担当裁判官はその間に、引き継ぎを行うこともなく手術入院し時間を空費し、事業主側に工事進行の時間を与えたことになる。これが私たちには、致命的なほどマイナスに作用したことになる。

東京高裁では、即時決定が通常の抗告案件としては異例なほど時間をかけた上に、審尋まで行ったにもかかわらず、もっとも簡単な判断が行われとことは大変残念だ。しかし、東京高裁のこうした対応は、横浜地裁で申立内容に関する実質的な判断が行われていないという私たちの主張に傾聴・検証すべき論点があったからに他ならない。

これで、今回の仮処分に関する法的な争いは終わりである。それにしても、横浜市の事なかれ主義に上手くつけ込む長谷工、結果的に開発行為や風致条例の扱いに関して無責任な判断を行政が行ったということを裁判所がきちんと検証・判断しなかったということは、なんとも無念で残念である。

横浜市が、長谷工による開発許可の潜脱を援護射撃してきたことは、市民に対する重大な裏切りであり、許されるべきではない。事業者に対する仮処分ではなく、はじめから行政訴訟で戦うべきであったのかもしれない。

それにしても、建物が完成しても数世帯入居してただけで、今でも大半は売れ残っているらしく閑散たる様子をみると、環境が確実に破壊されただけで、業者も住民も不満だらけの、まさに勝者不在の幕切れだとの思いにとらわれる。いったい何のために、ここまで大々的な環境破壊が行われなければならなかったのだろうか。


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横浜地裁の判断は、申立人の主張にそった形での事実検証も申立理由の検討もなく、判断の根拠としてあげられている事実の関してすら誤認があった。このため、横浜地裁への差し戻しを求めている。


第2準備書面
平成26年6月13日
東 京 高 等 裁 判 所  御 中


1. 景観の利益

本件土地を含む横浜市中区山手町の一帯は、開港当時、専ら外国人の居留地とし指定され、多数の外国人が移り住んだ。大正12年の関東大震災があったため、居留地の多くの外国人は神戸に移住し、その当時から山手町に居住する外国人の数は少なくなった。そして、今では、彼等がインドから輸入したと言われる多数のヒマラヤ杉の優美な姿と山の木と言われる雑木の巨木が緑豊かな住宅街を形成し、処々に未だに残っている古い洋館とともに異国の情緒を醸出してしている。山手町は、早くからメディアにも屡々取り上げられ、東日本に於ては、田園調布と並んですぐれた生活環境の地として紹介されていることは周知のとおりである。殊に本件土地は、元町に発して南に走って本牧地区に至る幹線道路から西に入った一劃の土地で山手の奥座敷と評され、文字どおり静謐と言うにふさわしい地域である。近年心ない業者の濫開発で次々と山手町の緑が失われる中で、本件土地とその周辺には、今でもヒマラヤ杉や山の木といわれる雑木の巨木が多数残っていて山手に最後に残る景観地として地域住民の愛着のまととなっている。まさに判例に言う良好な景観を留める地域である。このことについては、被抗告人等も既に認めるところであって、彼等の販売広告にも、「高台の良好な住宅地として愛される山手町。時を超えて深まった異国情緒・・・・・・知的な香りと邸宅地として風格が宿ります」とあり、また「本物件は、山手町で由緒ある地、目の前にヘボン邸を望み、山手の中でも一番誇らしい系譜を紡いでいます」(いずれも原文のまま)と述べるなど、この地域の美しい景観と、住宅地としての質の高さを礼賛している。改正都市計画法に於て、新しく風致地区指定の制度が定められると、山手地区が逸早くその指定をうけた事実は、山手町が都市景観においてすぐれた高い評価を公けに認められていることを物語る。判例によれば、「良好な景観に近接する地域内に居住している者は、その恵沢を享受する利益、即ち環境利益を有し、それは、法律上保護に値するものと解すべきものとされている。したがって、このような法益の侵害については不法行為が成立する。原決定の末尾の判示によると、抗告人等は、「本件土地の周辺に存在する建物の状況からすればこれまでの本件土地の利用状況が眺望について債権者等に望外の利益を与えてきたとも評価しうる」としているが、その言葉の表現が難解で容易に理解することができない。抗告人等が本件で求めているのは、抗告人の主張事実の存否とこれに対する法の適用を求めているのであって、そのような一見倫理的ともとれる説示は裁判とは無縁のものではないかと臆測する。

2. 景観利益の侵害

もともと、本件土地には、その周囲に樹齢数十年のヒマラヤ杉といわゆる山の木と言われる樹齢100年に及ぶ雑木等の巨木が配され、内部には多数の大小の植木が植栽されて緑豊かな庭園となっていて、その間に6棟の住宅が点在し、文字通り「緑の館」の観があった(甲第10号証の1-3)。そして、隣接する土地にもヒマラヤ杉の群や、自生の常緑樹や落葉樹の巨木の群があり、これらと相俟って市街地には見ることのできない静かな雰囲気を醸出し、四季折々に付近に居住する住民の目を愉しませ、また屡々市民のハイキングコース経由地点ともなっている。ところで、被抗告人等は、抗告人等近隣住民の保存の要請を無視し、所望の規模の建物を建設するためには伐採するしかないとして本件土地上の樹木を悉く伐採した。その結果4,440平方米余の裸地が出現し、附近の様相は一変し、長い間維持されて来た美しい環境は文字どおり一日にして破壊された(甲第10号証の4-19、および甲第11号証)。美しい環境が一度失われると元にもどることはない。やむなく、抗告人等は被抗告人等に「周囲の環境と調和する建物を建ててもらいたいとの要望をしたが、「自分の土地に何を建てようと勝手だ」と言い放ち、抗告人等の要望に一顧だにせず、敷地一杯に実質4棟の団地型の共同住宅を建設している。その出来上りつつある様を見るにつけても周囲の環境と調和せず、圧迫感を覚える。即ち(1)本件各建物は、敷地に余裕がない程に建てられているため、見る者に異常な圧迫感をすら与えている。例えば、本件土地の南側にあるT字路から北を望むと、北の敷地には、4米余の崖の上に3層の建物が南面しその両端は東西の隣地との経界の至近距離に及んでおり、3層の建物と言うよりは、その立地の高さの故に、中高層ビルの観がある。また本件土地南側道路に沿って建てられた1棟は、抗告人らの自宅との経界に迫り、また、その西南の角は公道との距離1米余の近さにある。近所に住む或る外国人は建物が余りにも道路に近いため倉庫か工場建物のような感じがすると評したが言い得て妙と言うべきである。また各建物が接近して建てられているため、前記T字路に立って見ると建物間の空間が見えず、建物が連続しているように見える。更に本件土地の北側道路は隣地との経界附近から急坂となっていて坂を下り切った処はT字路となっているが、このT字路に立って坂上を見上げると北側建物が一層高く感じられ、隣接する抗告人の一人の自宅は一段低いところにあるため、恰も巨大なコンクリート屏風が建てられたようで言いようのない圧迫感がある。 (2)建物は全戸数39にのぼり、その占めるスペース部分が余りにも大きいため駐車場が充分に確保できず、一部は機械式とするほかなく、その余は駐車場から公道に出るための狭い車路と幅1米余の住人の通路が確保されているだけで、(3)「ハイコート山手」と名付けているに拘らず、court(前庭)はない。本件土地の南側斜め向いの場所に本件建物と同様3階の低層マンション「クレスト山手」1棟があるが、原決定では何故かこれについてふれていない。この建物は、今から約30年前に市内で最初のいわゆる「億ション」として建てられた高級住宅で、周囲は緑に囲まれ、中には樹齢100年及び数十年と思われる巨木が自生している。そしてその敷地面積(約1500坪)は本件土地と略同じであるが、前庭は充分に確保され、裏庭の南東のスロープには山の木といわれる木々が叢生し森を形成している上に、さらに裏庭には大きな樹木が適度の間隔で植えられ建物全体を美しく見せている。また全戸について駐車スペースがあることは言うに及ばず、来客用駐車スペースまで確保されて、その戸数も18戸と抑制されている(添付:甲第44号証)。なお、敷地面積に於いて本件土地とほぼ同規模である当マンション建築は開発行為として行われており、全面道路の拡幅や山手公園などへの土地の提供などが行われており、開発を逃れた本件建築と周辺環境への配慮の点においては比べるべくもない。また被抗告人が言及している本件土地の斜め向いに道を距てて建てられているマンション「ノブレス」は、今から約30年前に建てられた建物で、南側に裏庭があり、谷を距てて根岸方面を見遙かす6戸3階建ての低層マンションで1戸当りの占有面積は約200平方米で、駐車場は建物内に蔵められ、本件建物のような外階段外廊下の建物とは比ぶべくもない建物で、売出し価格は1戸につき7億円であることから当然のこととして外観も重厚感があり敷地にも充分なゆとりがある。これらの建物と比較すると、本件建物は、その様相と規模の醸し出す雰囲気と言う点に於て付近の環境と甚だしく調和しないことが容易に首肯することができる。事実、附近に居住する住民は言うに及ばず、そこを通り過ぎる人また訪ねて来る人々の多くが、本件建物群を見て一様に異様な圧迫感をうけると述懷する。この点については、論者或はこのような述懷は個人的な印象であって侵害の有無に関係がないと言うかも知れないが、そもそも本件建築計画については所掌の都市再生推進課が環境上「不承」意見を公表し、市のきも入りで組織されている住民組織「山手まちづくり推進会議」も「不適合意見」を発していることについて、論者はどのように答えるのであろうか。横浜市に於ては、風致地区内に於て開発行為、樹木の伐採又は建物の建築を行うときは、それぞれの行為について、市又は法定の審査機関の許可又は確認を得るとともに、風致地区に於ける景観風致の保全と推進のために適切な行政指導を行うことをその所轄とする横浜市都市整備局都市再生推進課(以下「推進課」と略す)に届けてその行政指導を受けるべきこと、及びその指導の下に設けられた住民組織「山手まちづくり協定運営委員会」に届けてその意見を求むべきものとされている。そのため、被抗告人等は、平成24年12月17日、市に対し、本件建物の建築計画書(甲第30号証の6)を提出したが、市は、平成25年2月27日、届出にかかる工事計画内容は風致維持の目的にてらして充分ではないとして再考を求めるとともに、「建築計画等によって除却することになる樹木は最少限度とし、道路沿いなど敷地の外周部を重点的にできる限り樹木の保存又は移植を行うことなど景観維持のために充分な配慮をすること、特に山手地区の景観を形成している景観木、ヒマラヤ杉、クスの木等の保存する」ようもとめた(甲第30号証の5)が、被抗告人等はこれらの指導に応じようとしなかった。そのため市当局は審議の結果、都市再生推進課長名を以て平成25年3月18日、抗告人等の本件建物建築計画の内容は市として認められない旨の「不承」意見を抗告人等に通知した(甲第30号証の6)。被抗告人等はまた、平成24年10月25日付を以て「山手まちづくり協定運営委員会」に対し、本件建物建築計画を提出し、平成25年4月15日、同委員会から景観木を伐採することは「山手まちづくり協定」に定める基準に反し不適合であるとし、且つ敷地外周部の樹木とくにヒマラヤ杉は「山手らしさを形成するヒマラヤ杉、クス、ケヤキ、シイの木を保存することを求め、また隣地1米に大型集合住宅を建設することは山手町内には例がなく、建築によってこれまで住民の努力で、維持されて来た良好な景観や風致がそこなわれ、近隣の住環境が大幅に悪化する」との理由で、被抗告人等の計画には反対である旨の通告をうけた(甲第30号証の7)。被抗告人等は、原審に於て景観や環境の評価は見る人によって異なるとして、抗告人等の本件土地周辺が良好な景観と環境に恵まれている旨の主張を抗告人等の独自の主観的な判断であるかの如き主張としているが、上記のように公けの機関の評価によっても、また地域住民のそれによっても、本件建築工事が周辺の景観と環境破壊をもたらす結果になる旨の抗告人等の主張の理由のあることは客観的にも正しいと言うことができる。
近年山手町はそのすぐれた環境の故にここに住居を求める人が多く、潜在的需要が大きい地域であるが、最近は業者によって開発し盡され、販売に供される土地の取得は極めて困難となっていることは周知の事実である。現に元町商店街から山手町の丘に上る谷戸坂と言う名の急坂の道路があり、これに沿った崖を崩して土地を造成して建設されたマンションがあるが、北斜面にあるため日照は午前中の限られた時間のみで、しかも、敷地が狭く、駐車場も一部の少数の入居者しか入手できないというハンディがあるに拘らず、売出しとともに即日完売となった。勿論、売買の条件によることにもあると思われるが、本件土地のように山手町に残った唯一の優良宅地に建設された本件建物が、被抗告人等が懸賞金の提供まで約束して懸命に顧客獲得の努力をしているにも拘らず、未だに多数売れ残っているという紛れもない事実は、控え目に考えても、潜在顧客の目には購買意欲をそそるような建物ではなく、山手町の物件としては期待はずれのものであることを物語ると言っても過言ではない。以上を要するに、原決定が、あえて本件建物が周囲のマンションと比較して地域の景観と環境と調和すると判示したことは、証拠に基かない独断であることが明かである。

3. 侵害の違法性

判例によれば、建物の建設が第三者に対する関係に於て景観利益の違法な侵害になるかどうかは、侵害される景観利益の性質と内容、当該景観所在地の地域環境、侵害行為の態様、程度、侵害の経過等を綜合的に判断すべきであるとされ、或る行為が景観利益に対する違法な侵害に当たると言えるためには、少なくともその侵害行為が刑罰法規や行政法規に違反し、或は公序良俗に違反や権利の濫用にあたることを要するとされている。抗告人は、本件すべての条件を充足していると確信している。即ち、

(1) 開発行為の潜脱
都市計画法によれば、都市計画区域内に於て一定の面積規模で開発行為をしようとする者は、指定都市にあっては、市長の許可を得なければならないとされている。これをうけて定められた横浜市の条例によれば、その面積規模は500平方米とされている。本件建物建築のために抗告人等の行う土地の開発行為、即ち土地の形質の変更は、優に500平方米を超えるところ、登記上も一筆の土地であり、且つ歴史的にもまた現状に於ても一箇の邸宅敷地であるに拘らず、被抗告人等は、開発行為の制限を免れるために土地を南北に2分して条例に言う一連性のない2箇の造成工事を装って法の制限を免れた。これについては、横浜市の担当者の安易にして軽率な対応にも責任があるが、いずれにしても、被抗告人等のこのような行為は都市計画法第92条の3号に該当し、罰金刑を以て処罰される事案である。被抗告人等は、建築基準法所定の建築確認を得ているので違法はないと主張し、原審もこの主張を認めているが、建築確認は予定建物の建築の安全性を公的に確認するにすぎず、これを取得したとしても、開発行為の許可を得ない限り、本件建物等の建築はこれを行うことができない筈である。したがって本件建物の建築工事は、判例に言う行政法規に違反するものであることは明白である。その詳細な顛末については、原審に於て主張したとおりであるが、加えて言うならば、このような「開発脱れ」の事実は、今日の現状を見れば一目瞭然である。即ち今では、本件土地の略中間の位置に東西に約 米に亘って2段の用壁が築かれ、その高さは合わせて優に4米を超える。嘗てのなだらかな庭園のたたずまいはない。南側敷地から見ると、コンクリートの絶壁の様相を呈している。このような長大な用壁を築くためには、その工事規模からみて開発行為にあたる多量の切土盛土が行われていることは容易に推測される。住民説明会に於て、被抗告人会社の幹部職員が土地の現状をなるべく変えないで工事をすると説明し、工事は開発行為と無縁であるがの如き発言をしたが、開発行為が行われたことは現状を見れば歴然である。

(2) 皆伐の違法
また被抗告人等は、その計画した規模の建物を建てるために、風致保全条例の許可を得たとして地上の樹木のほぼすべて(約136本中114本を伐採、22本は保存または移植)を伐採した。ところでこれを許可するに当って市の建築局のよりどころとした審査基準は、伐採する樹木の大小に関係なく一本伐採する毎に苗木のような小木(1メートル以上の高さのもの)を植栽することを条件に皆伐を認めるものであって、この審査基準は条例の定めに反し無效である。即ち市条例では、市長の許可なくして風致地区に於て樹木を伐採することを原則として禁じ、例外として伐採を許可するときに於いても可能な限りこれを抑制し、風致を保全すべきことを定めている。この条例の趣旨からすれば皆伐は論外である。審査基準はこれに真向から反する。本件のように樹齢数十年から100年を超える大樹によって形成された緑豊かな環境は、一旦皆伐によって破壊されるときは、回復は半ば恒久的に不可能となる。風致保全の法の規定や条例は正にこのような事態の発生をさけるためのものである。市建築局の審査基準はいわば法の執行機関である行政が立法を変更するもので、違反は明白重大であり、処分はその取消をまつまでもなく、無效である。従って本件建築工事は行政法規に抵触し違法と言わざるを得ない。尚、審査基準は市の建築局に於て定めたもので、従来その適用が時によってまちまちで一貫していないことは原審で主張したとおりである。

4. 原決定のあやまり

抗告人等は以上の事実を主張し、充分な証拠を提出したが、原審の決定は、そのいずれに対しても真正面から向き合って判断していない。申立があれば、申立理由に於ける主張事実のすべてについてその存否を判断した上で法律判断をすべきは当然であるが、原決定は、申立の事実について判断をさけ、逆に、被抗告人の弁明書を下敷にして、本件工事はすべて適法な手続を経ているから、何等違法はないとして抗告人等の申立を却下した。原決定は抗告人等の主張の趣旨を充分に理解せず、また重要な事実について甚だしい事実の誤認をしている。即ち原決定は、「当裁判所の判断」に於て、本件工事は建築法規に適合し、建物の高さは、その建ぺい率及び容積率ともに一定の数値限度に留まるとしているが、「留まる」どころかむしろ法の制限に近い数値であって、「留まる」という表現は偏頗な表現である。また、被抗告人等の建物が、余りにも隣接の住宅と密接していることについて、プライバシーの問題を提起したが、これはプライバシー侵害自体を目的として主張しているのではなく、住民説明会のときに資料として配布された計画図(甲第13号証及び甲第14号証の5)を見ても一見して明かなように、黒色に塗りつぶされた4棟の建物位置が所狭しとばかりに敷地一杯に建てられることが見てとれることから、本件建物の規模が付近の景観と調和を欠く異様な建物の様相を呈していること、その結果としてプライバシー侵害など様々な問題が生ずることを言わんとしたものである。また日照、通風に関する主張も然りである。また、原審に於て、抗告人等に於て、本件土地の「周囲」には、2棟のマンションがあっていずれも周囲の環境と調和を保っている旨を述べ、その詳細を説明したにも拘らず、原決定は何故かこれに言及せず、周囲に山手ハイム、メゾン山手、山手ホームズがあるとして本件建物から離れた土地にあるマンションを引用し、これを判断の基礎として(原決定9頁)それらの「建物の規模と比較しても本件各建物が周辺環境に適合しない特異な存在とは言えない」と判示した。これは重大な事実の誤認で抗告人等の到底承服することが出来ないところである。即ち、「メゾン山手」は山手町に存在することは事実であるが、本件土地から谷を隔てた西方の丘の上を走る山手本通の近くに位置し、「本件土地の周囲」にあるマンションではない。そして、それは6階建であることは事実であるが、建築制限の行われないときに建てられたもので比較にならない。いずれにしても、昭和45年以降は市条例により風致地区では新築する建物の高さは10米を超えないものとされたが、これらの建物はその以前に建てられたものであることは被抗告人自身も認めているところであるから、これらの建物を引き合いに出すことは意味がない。また山手ハイムは、6階建て住宅であるが、本件土地から徒歩約10分の距離にあるが、その位置は元町を発して山手を南北に走って本牧方面に至るもう一つの幹線道路に面して建てられ、本件土地とは立地条件が異なるのみでなく、これまた法による高さ制限(高さ10米)の行われる前に建築されたものであるから、比較考慮の対象とならない。また、山手ホームズに至っては、本件土地と一つ谷を隔てる丘の稜線の上にあり、「港の見える丘公園」前を発して本牧方面に至る上記幹線道路に面する高台に建てられ、本件土地の周囲にはない。しかも、その立地条件のよさは抜群で、横浜湾を一望できる景勝の地にあり、贅沢な程に充分な前庭を擁し、周囲に常緑の巨木を配し、ことに背後の敷地は広大な森となっていて、文字どおり豪華マンションであって、その戸数は30戸とは言うものの、外廊下、外階段の団地スタイルの本件建物とはその質、外観ともに、格段の差がある。原決定はこれらの事情をたしかめることなく、安易に本件建物が付近の隣接の景観と調和していると軽々しい判断をしているが、そのような事実認定は重大な誤まりと言うほかはない。原審は、また、「当裁判所の判断」2に於て日照、風圧等の問題をとりあげて本件工事に違法はないとしているが、抗告人等は、既に判例に於てそれらの問題は景観利益の問題と無関係であるとされていることを念頭に置きながら、可能な限り、多くの角度から本件建物の異様さを説明し、本件建物群が抗告人等近隣住民の景観に恵まれた環境利益を害する結果になったことの例として主張したにすぎず、それが主張の目的ではないことは既に主張したとおりである。原決定は「当裁判所の判断」4に於て(第9頁第2段落)「本件建物は、前記1(1)(2)のとおり、発生させる日照の状況、本件土地と建物の容積の関係等に於て、建築法規、条例に違反するところはなく、また一件記録によれば、本件建物は通常のいわゆる低層マンションとしての外観を有する建物であることを一応認めることができるから周囲の景観との調和を乱すような点があるとは認めがたいと断じ、本件債権者等は本件土地において本件建物の周囲に244本の補植を行うが故に、本件建物は緑地の維持という点に於ても相応の対応がなされているとしていると判示する。しかし、上記の判示が本件に於ける原審の事実認定の総てを要約するものと考えられるが、建物が法規に適合して建てられたからといって直ちにそれが周囲の景観と調和すると判断し、或は建物が通常の低層のマンションであるから周囲の景観との調和を乱すことがないとする判旨には明かに論理の飛躍があり、経験則にも反する。因みにこの点については既述のとおり、当時市の都市再生推進課から本件建築計画については「不適意見」が公表され、また「山手まちづくり推進会議」も同様の回答が被抗告人等に対してなされているが、これらの事実は抗告人等の主張と揆を一にする。抗告人等は、被抗告人等の行為が、建築法規に形式的には適合すると言うものの、その実体に於て、抗告人等隣接地域住民の環境利益を害するが故に違法であることを主張し、この点について裁判官の叡知に期待したが、原決定はこの点に関する抗告人の主張事実について一切の判断を省略し、専ら形式的適法を論拠とし、且つ誤まった事実の認定を基礎として申立人の申立を却下した。これでは、被抗告人等に保障された裁判をうける権利を失わされたにひとしく到底納得することができない。Justice must be done、抗告人等は正義を求めて本申立に及んだものである。

5. 被抗告人等の建築工事遂行上の不法行為

被抗告人等の行う本件建築工事は、それ自体違法であるにとどまらず、被抗告人等は、本件建築工事を行うに当っても、数々の不当或は違法な行為を繰り返しで抗告人等近隣住民に累を及ぼしていることは既に詳細に主張したところである。例えば、形ばかりの住民説明会の開催、住民の一人から何故に南北に土地を二分して工事をするのかの問いに対し、石段があるからとあいまいな答えをしたが、実は開発行為による道路の拡張や公共用地の提供等の公用の負担を免れるためであることが後日判明した。もともと抗告人等近隣住民は、建物の建設それ自体に反対しているわけではなく、専ら風致地区のあることを念頭に周囲の環境と調和した建物の建設を要望していたにすぎない。しかるに被抗告人等はこのような抑制された要望に対し、公けの席で「自分の土地に何を建てようと勝手だ」と暴言を吐いた。そしてその後の被抗告人等の工事のやり方を見ると、正にその暴言を地で行くような振舞の連続であった。即ち、通常大型工事で行われる地域住民との工事協定を結ばす、作業時間はまちまちで労働者は早朝7時頃から現場でうごめき、夜も7時すぎ頃まで作業をする時もあった。また、工事には騒音や振動はつきものとは言え、余りの激しい振動で地震の発生かとまごう程で、モーター等の機械による大きな騒音は連日響きわたり、住民の精神の平衡に影響を来し、心身の不調を訴える人もあった。また外構工事のために公道に接する箇所で粉塵飛散の防止の措置をとらないまま行ったために多量の細かい石の粉塵が風によって周囲一帯に飛散し、あたりは濛々たる白煙が上り、恰もテレビで見かける北京の空のように先が見えない状態になる、また石切り機械による高い金属音が終日断続的に響くなど、工事が進むにつれて形を変えて抗告人等近隣住民の平安であるべき生活を妨害した。また、作業を急ぐため工事用資材の運搬は超大型の長大なトラックを使用するため、4米を漸く超える道幅の箇所では抗告人等近隣住民の通行の妨げとなり、甚だしいときは道幅4米余しかない道路を塞いで通れるようになるまでは30分を要するとか、或は1時間かかると言って近隣住民の車を通さなかったためまわり道をするほかなかった。工場現場前面T字路では、大型小型のトラックが二重三重に長時間駐車し、最もひどいときは大小12台のトラックがT字路を埋め盡し、恰も“トラックの渦”の状態を呈し、抗告人等住民は再三に亘り警察に取締を要請しなければならない始末であった。また被抗告人は道路占有許可を当局から得ていると言うが、公道にビニールを拡げその上に金属製の大型の函を置き終日そこで作業をする日が一再ならず繰返された。被抗告人は道路占有許可を得たと言うが、当局がこのような行為まで許可する筈がない。事実、あまりのひどさに警察署に取締を要請したところ、駐車するトラックは2台、道幅3.5米を通行人のために空けることとされた。そしてこのような傍若無人の行為に、たまり兼ねて現場責任者にクレームをつけると、責任者は、謝るどころか逆に反論した。抗告人等近隣住民はこのような無責任な工事遂行のために1年余もの間苦しめられたが、社長以下10数人の社員(一級建築士)が耐震偽装設計の案件で業務停止の処分をうけ、或は20数億の脱税をしたこと、また被抗告人の建設現場を管理する社員が、平成10年3月から平成26年2月までの約16年間にわたり複数の協力会社に対し、工事内容の変更等により本来減額されるべき工事代金を本人の指定した銀行口座に振り込ませるなど資金の私的流用していたことなどを新聞報道等で知るにつけても、被抗告人長谷工コーポレーションの本件工事に於けるガバナンス欠如もその体質に原因があるものと思わざるを得ない。被抗告人等は抗告人等の要望を容れて建物の設計変更まで行って誠実に対応したと言うが、事実は以下の通りである。横浜市による斡旋の場において、抗告人等は敷地周辺部分を中心に存在する10メートル超級のヒマラヤスギなど景観木を保全することを前提に建物の配置・規模の再検討を要望したところ、被抗告人の回答は建物の配置・規模は従来の計画通りで、出窓を取りやめるなどわずかにプライバシーへの配慮と移植・保存木の本数を7本(保存7本・移植0本)から22本(保存8本、移植14本)に増加させたものであった。しかも、増やした部分にはヒマラヤスギなど景観木も大型樹木は一本も含まれず夏みかんなどの雑木ばかりであった。この意味で、被抗告人の対応は形式的には対応したものの、実質的にはゼロ回答であったといえる。原審においても前後 5回に於て行われた和解期日に於て抗告人等は設計変更(3階の両端を切取ること、10メートル超級の樹木を植えることー等)を要望したが何一つ容れられず和解は不調となった。また被抗告人に対応は抗告人の要望にきちんと向き合ったものではなく、自分に好都合の形式的な対応に終始しているのであり、設計変更など実質的に皆無であることは当初配布された設計図がその後に作成された完成設計図とほぼかわりがないことからも明白である。以上のような数々の迷惑行為は、その程度内容及び行われた期間の長さを思えば、忍受の限度を超え、明らかに不法行為を構成する。殊に被抗告人新日鉄興和不動産株式会社の本件に於て行った数々の卑屈無礼な態度は、モラルの問題ではなく、抗告人等の人格を無視するもので違法な行為として到底容認することができない。そのような被抗告人の所為の数々については既に原審に於て詳細主張したもので繰返さないが、最近の事象として一点従来の主張に次のことを付加する。即ち、既に述べた如く、本件建物は、附近の景観との余りにも不調和な外観を呈しているため、近隣住民はもとより、その他多くの人々のひんしゅくを買っているが、販売の実績がはかばかしくないとみたのか、新日鉄興和不動産は突如として、新聞紙上に本件マンションの売主としてその名に於て募集広告を出し、来客には10万円の懸賞金を進呈するほか(多分、その金額は賞金の合計額でありその支払は抽選による趣旨と思われる)、特別にハイヤーを仕立て山手の洋館めぐりのサービスを提供する旨を発表して顧客を誘引する挙に出た。従来一度として顔をのぞかせることのなかった新日鉄興和がこのような行動に出たことは、販売を促進するためとは言え、当業界で他に例を見ない販売方法である。このことは、抗告人等の目から見ればあさましいと評するほか言葉がないが、同社が、これまで抗告人等の要請を一切無視していることを思い合わせると、同社のこのような行為は、自分の都合のよいときにだけ顔を出すという卑劣な行為と観ぜざると得ない。しかのみならず、被抗告人新日鉄興和不動産は、本件に於ける80%の絶対的支配権をもっているのであるから、本件工事に関しては、共同の建主として長谷工コーポレーションよりは遙かに責任の重い立場にあるにも拘らず、被抗告人長谷工コーポレーションの数々の不法行為を看過し、何等これをあらためる行動に出ることなく、すべては長谷工に委せてあるとして、抗告人等の「環境に調和した建築」と言う極めて抑制された要望に一度として答えることがなかった。そもそも同社は、そのホームページに於て、都市開発事業は、地域住民との協働によってこれを実現すべきものである旨を述べまた、最近の同社の新聞広告(平成26年3月4,10,19,24,28日の計5回、朝日新聞)にも同旨のことが記載されているが、その行うところはその逆である。本件に於ける同社の隣接住民への人格無視の態度は、強い社会的非難に値する。それ故同社は、本件に於ては長谷工とともに不法行為責任を問われて然るべきは当然である。

6. 被抗告人等の答弁書(平成26年5月29日)への反論

尚、被抗告人らは当審に於いて、以下の3点のことを述べている。念のため以下の主張を付け足す。
(1)抗告人等を含む近隣住民に対して真摯に繰り返し説明した(答弁書5頁)
近隣住民に対する説明は、住民側からの再三の要請にもかかわらず、当初から予定の2回のみで打ち切られた。その後の説明は、住民側による市に対するあっせんの要請であったり、原審の場のような必要な説明に出向いたにすぎず、上述のような数々の不法行為を思う時、「真摯」という言葉は到底受け入れがたい。さらに、土地の80%を所有する主要事業主である新日鉄興和不動産は、住民からの再三の要請にもかかわらず一度も住民に説明を行わなかった。
(2)抗告人らの要望を受け入れた設計変更を行ってきた(答弁書5頁)
上述の通り、被抗告人等が抗告人の要望内容を受け入れた事実はない。あるのは、実質のない形式的な一応対応したとのアリバイだけである。
(3)共有のパーキング通路は相互通行可能な幅員がある(答弁書5頁)
共有パーキングの幅員は5メートル程度であり、普通の相互通行は困難である。ここで抗告人等が主張しているのは、共有のパーキング通路が普通の相互通行は困難なほど狭くなるほど、ギリギリの建築計画であり、周囲の環境と調和しないという点である。

【結び】

原審は、以上の抗告人の主張事実については一切判断をしていない。
裁判には理由を付すべきものとされている以上、決定に至る事実認定とその法律評価が理由として示されるべきであって、結論が正しければよしとするものでないことは言うまでもない。原決定はこの点に於て、重大な誤まりを冒している。のみならず、被抗告人等の本件建築は、刑事法規、行政法規のいずれにも違反するものであるのみならず、その工事の遂行自体に於ても数々の隣接住民の人格無視の所為は、社会的にも忍受の限界を超えるものである。原決定はこれらの諸点のすべてを看過して導き出されているばかりでなく、抗告人等の審級の利益を損なうものであることから取消し、横浜地方裁判所への差し戻しを免れない


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私たちは、東京高等裁判所に抗告を申し立てている。
一般に抗告に対しては、東京高裁で審査し決定を下すのが通例だそうだ。高等裁判所は管轄が広く、大変忙しいからとのこと。

ところが、今回の抗告に対して、私たちのところへ東京高裁から審尋の呼び出しがあった。

やはり、原決定が申立人の主張を正しく理解せず、その申し立ての根拠をきちんと検討していないという印象を東京高裁の裁判官も抱いたのではないか。東京高裁の正義に期待したい。

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私たちは、東京高等裁判所に抗告を申し立てている。
それにしても、ハイコート山手パレとは皮肉なネーミングだ。「高台にある庭のある邸宅」のつもりの「ハイコート」の別の意味は、高等裁判所である。何とも示唆的だ。

私たちは、長谷工・新日鉄興和が、本来必要な開発許可を姑息なごまかしを積み上げて、法を潜脱したことは間違いないと、確信している。様々な証拠を提出し、このことを実証しているが、原決定はこの点を直視せず、きちんと検討していない。こうした裁判官の怠慢を許すことはできない。

以下の内容を準備書面を提出した。

平成26年(ソラ)第1011号抗告提起事件

第1準備書面

平成26年4月28日
東 京 高 等 裁 判 所  御 中

 抗告人等は横浜地方裁判所が平成26年4月18日、抗告人申立にかかる仮処分の申立(平成25年(ヨ)480号建築続行禁止仮処分命令申立事件)について抗告の申立をし、その中で抗告の理由を述べたが、本書を以てこれを補充する。

原審は抗告人等の仮処分申立を却下したが、申立を却下する以上、申立人の事実主張か予備的事実の主張であるとか、主張それ自体理由がないばあいを除いては、申立人の主張したすべての事実の存否について判断した上、法を適用すべきである。原決定は、抗告人の主張事実の存否について判断をせず、逆に安易に本件建築工事は所要の許可を基本として結局に於て建築関係等法規に適合しているので違法はないとして抗告人等の申立を却下した。しかしながら、抗告人等は、本件土地が都市計画法に基づき、良質な環境として指定され、法によって保護される社会的財産であり、これを保全することは公共の利益に適うものであること、そしてこの意味に於て風致地区に於けるすぐれた環境は社会公共の財産に比すべきものであることを主張した上、被抗告人等の行う本件建築工事は、周辺地域の環境と全く調和しないばかりか、逆に環境破壊に当るものであることを主張し、且つ事前説明集会に始って建物建設にいたる間に於てなされた数々の被抗告人の人格を無視した言動は、大企業として共同社会の共通の礼譲を忘れた許されない人格無視であり、その侮辱的発言は附近住民の神経を逆なでするもので、以上のことを綜合すれば、本件工事の遂行は違法である旨を主張し、抗告人等はすぐれた環境を享受する法的利益を有する者として、その資格に於て仮処分申請に及んだものである。

しかしながら原決定は、抗告人等の主張を正しく解釈せず、被抗告人等の本件工事は関係法規の定めに違反する点はなく、本件建物は周辺環境に適合しない特異な存在とまで言えないとしているが、そのような判断は以下に摘記するとおり、その基礎となった事実関係の認定を誤まっているので、原決定は違法として取消さるべきである。

1. 原決定は、日照、建物の建ぺい率、容積率、隣地との距離等について何れも建築基準法の定めに適合しているので問題はないとしている。抗告人等は原審に於てこの法に適合している事実を認めているのでこれは争点にはならない。抗告人が主張している趣旨は、本件土地が2400平方米を超える充分な広大な面積を有するに拘らず、実質4棟の建物を駐車場スペースを機械装置にして節約し、ハイコート山手と称していながら後庭前庭もない。あるものは一方通行しかできない自動車の車路のみで、敷地一杯に建物を建てて、周囲の環境と調和していないどころか、これを破壊するものであり、このような節度のない建築工事は風致地区に於ては許されないことを主張し、その具体的現象として隣地との極端なまでの接近や日照、眺望がさまたげられていることを主張しているにすぎずそのこと自体が主張の目的ではない。尚、現に建築中の建物はマンションと言うよりは外国の倉庫か工場を連想させる外観を呈し、それが敷地一杯に隙間のないように建てられているような異様な風景である。

2. また原決定は、本件土地の周辺地域には6階建の山手ハイム、5階建のメゾン山手及び3階建の山手ホームズがあり、これと比較して、本件建物が周辺環境に適合していないとは言えないと判示したが、山手ホームを除く上記のマンションは、いずれも風致地区の指定制度が定められる前に建設されたもので比較の対象とならない、また、判示が言う周辺地域の地理的範囲はどこまでの範囲を言うのか不明であるが、これらの建物はいずれも本件土地から離れたところにあり、その意味でも比較の対象とするのは適当でない。実際、本件建物の北側隣接地には、日本銀行の2階建宿舎があり、南側隣接地には3階建のマンションがあるが自動車を直接玄関前に停車できるほど前庭は充分確保され、正面には大きな樹木が植えられ周囲と調和した品格のある建物であって、外国の倉庫か工場建物かと見まごう本件建物とは趣きが全く異なる。また少し離れた南側に大成建設の建築した3階建18戸のマンションがあるがその敷地は公道から南につづく傾斜地にあり周辺には数10年の樹齢を超える巨木が整然と生育し、前庭には約20台の駐車スペースがあってしかも自動車の出入に全く支障を来さない広さの前庭が展開していて風格のあるマンションとなっている。その他は個人住宅で、それぞれが住む人達の生活を反映して違和感はない。原決定は位置的にも歴史的にも比較の対象となりえない2つのマンションの例を引用して本件建物が近隣の環境と調和を欠くものでないとすることは明かに事実認定のあやまりである。

3. 原決定は、抗告人等の本件建築工事の違法の主張について、「本件地上において、従前建物の解体工事が一体として行われた旨を認定するとともに、建物の建設については2棟それぞれ別個独立の工事であった」と認定しているが、この点については、整地工事は同一の下請業者によって土地全体について行われ、作業のために南北自由に作業機械が往来し、工事の下請会社も南北2棟(実質4棟)について行われ、その実施状況を見ても南北各2棟の工事に配される作業員は毎日朝8時に本件土地の北側に設置された建築事務所に集められ、その日の作業指示をうけて各持場につくと言ったことの繰り返しであること、そして本件工事は被抗告人等の行うものであることを思い合わせると、工事は事業としては実質的に1箇の建設工事である。建築基準法による審査では建物の安全確保を目的とするものであるから、審査は2棟別々に対して行われるので手続法上の2箇の建築工事にならざるを得ない。しかしこれを以て本件建設工事という事業が2箇になるわけではない。被抗告人等が本件工事が別箇独立のもので、官庁に対する届も各別に行っているけれども実質的には法の規制を免れるための姑息な手段であることは原審に於て主張立証したとおりであって、この点についての原決定中の判断は到底納得することができない。また、原決定は、本件建物の建築は建築基準法の確認を得ていることを申立却下の理由としているが、同法による審査の目的は建物の安全にあるのであって環境保護の問題とはかかわりがない。それ故これを以て却下の一理由とすることはあやまりである。抗告人等はこの点については原審において主張を盡し、これを支持する充分な証拠を提出しているので重ねてここで述べることは無意味であるからこれをしない。

4. 原決定は、樹木の伐採については計22本の保存または移植を含め合計244本の植栽を行う予定なので周囲の景観を乱していないと判示する。しかしながら、そもそも建築に当って多数の大木を皆伐したのは、これをしないと計画どおりの規模と数の建物が建てられないことからなされたということによるものであることを思えば、建物を計画どおり建てた後は、植樹をする余地はない筈である。したがって被抗告人等の行い得る植樹の大きさ、その植栽位置は甚だしく限られることは理の当然であって、原決定はこれを以て「緑地の維持と言う面に於ても相応の対応が施された」と判示し、木竹の伐採は補植によって景観は保たれているかの如く述べているが、そのような認定は上記の皆伐の事情を思えば誤まった認定と言わざるを得ない。また、原決定は「木竹の伐採について横浜市風致地区条例に基づく横浜市の許可を得ていることを一応認めることができる」としているが、横浜市は同時に山手地区景観風致保全要綱の審査において、景観風致の維持・増進への対応が不十分として本計画を不承処分とするなど矛盾した判断を行っており、横浜市の判断には論理的な信頼性はない。一度失われた美しい環境は二度と戻って来ない。原決定が土地の利用状況は時の経過とともに変動するのが通常であるとしているが法律の規定を以て現在の環境、風致を維持すべきものにされている風致地区にはそのような考え方はあやまりと言うほかはない。

5. 抗告人等は、本件工事自体については始めから反対しておらず、専ら風致地区として景観と環境を守るため、環境と調和する建築をしてもらいたい旨を要望したのに対し、被抗告人株式会社長谷工コーポレーションの幹部職員は横浜市で行われた斡旋の場に於て、抗告人等の礼を盡した要請にも拘らず、「自分の土地に何を建てようと勝手だと暴言を以て答えたが、その後被抗告人等の建設工事の経過の中でとって来た態度はこの暴言どおりで終始住民の人格を無視した数々の不法な言動であったことは原審で述べたとおりである。かくして、被抗告人の行う建築工事自体、行政法規に反する違法がありその建築工事の過程に於ても抗告人等の名誉感情を不当に害する違法行為があり、これらを総合するとこのような被抗告人の行為は公序に反し、権利の濫用として許されないことを主張するものである。

6. 要するに、本件に於ける被抗告人の行為は、最大の利益追求するがために地上樹木を悉く伐採し、その結果、周辺の環境の風致の保全という法の目的を無視しまたその行う工事には行政法規潜脱と違反があり、そのような限りなく営利を求める行為によって貴重な社会的財産と言うべき風致地区を破壊するものでこのような営業行為は権利の濫用として共同社会に於て許されない。すぐれた自然環境は一度破壊されると半恒久的に元の姿をとりもどすことができない。ことに本件土地は、風致地区として横浜市民は言うに及ばず多くの他府県の人達が訪れる場所である。それ故、本件建築計画の内容をきいて2000人にのぼる数の県内外の人達から建設の規制を求める上申書に署名が寄せられた事実を見ても、本件土地を含む山手地区一帯の風致の保全の重要性が認識される。

以上


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プロフィール

山手の景観と環境を守る会

Author:山手の景観と環境を守る会
横浜山手は、外国人居留地時代のなごりを残す異国情緒あふれる美しい街並みと緑あふれる自然環境が見事に調和した住宅・文教地区です。また山手は、住民のみならず、多くの横浜市民、神奈川県民にとっても大切な思い出とともに心に残る印象深い町であり、何ものにも代えがたい貴重な共通財産でもあります。こうした歴史を今に受け継ぐ美しい山手町を心から愛し、誇りに思うからこそこの町を醜悪なマンション計画-ハイコート山手パレ244-から守りたいのです。

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